清成忠男

清成忠男について

清成忠男（きよなり ただお、1933年2月19日 - 2024年7月23日）は、日本の著名な経営学者です。中小企業論を専門とし、長年にわたり教育・研究活動に尽力しました。日本ベンチャー学会特別顧問、人を大切にする経営学会顧問、地域活性学会会長、地域経済総合研究所評議員など、数多くの要職を歴任し、学術界だけでなく、実業界や地域社会においても多大な貢献をしました。

生い立ちと学歴

東京都出身の清成氏は、東京都立青山高等学校を卒業後、東京大学に進学。1956年3月に東京大学経済学部を卒業しました。在学中には、同期の中島清成氏らとともに、東京大学応援部（運動会）を創設するという、活動的な一面も持っていました。

キャリア

1956年4月には国民金融公庫に入社し、調査部で小規模企業の新規開業調査に従事しました。1970年には、同公庫調査部調査課長時代に、専修大学経済学部の平尾光司教授、中村秀一郎教授と共に「ベンチャー・ビジネス」という言葉・概念を世に送り出したことでも知られています。この功績を称え、日本ベンチャー学会では「清成忠男賞」が設けられています。

その後、1972年から1996年まで法政大学経営学部教授を務め、1986年から1988年までは学部長も兼任しました。1996年から2005年までは、法政大学総長・理事長として大学運営の重責を担いました。総長退任後は、法政大学経営学部名誉教授・学事顧問として、引き続き大学に貢献しました。

また、2005年には特定非営利活動法人三鷹ネットワーク大学推進機構理事長、2006年からは財団法人沖縄協会会長を務め、フランス政府からは教育功労章コマンドゥールを授与されました。2010年には瑞宝大綬章を受章しています。さらに、2012年9月には一般社団法人大学資産共同運用機構初代理事長に就任、2014年から2016年3月まで事業構想大学院大学学長を務め、2016年4月からは同大学顧問、同年から大正大学地域構想研究所所長に就任するなど、幅広い分野で活躍しました。

法政大学総長としての功績

法政大学総長時代には、「開かれた法政21」というビジョンを掲げ、「グローバル化への対応」「社会との交流」「生涯学習の推進」をコンセプトに、大学改革を積極的に推進しました。多摩キャンパス竣工後、停滞していた市ヶ谷キャンパスの整備を進め、国際文化学部、人間環境学部、現代福祉学部、情報科学部、キャリアデザイン学部の新設を実現しました。また、ボアソナード・タワーをはじめとする新校舎の建設、小金井キャンパスの拡張、アメリカ研究所の設立など、大学の教育・研究環境を大きく向上させました。さらに、短期留学制度の導入、生涯学習機能の強化、財政健全化のための格付け導入など、多岐にわたる改革を行いました。

その他の活動

沖縄振興開発審議会会長、日本私立大学連盟副会長、大学基準協会会長などを歴任するなど、大学経営だけでなく、広く社会に貢献する活動を展開しました。著書も多数あり、中小企業論、地域振興論、大学論など幅広いテーマで研究成果を発表しました。

主な著書

『日本中小企業の構造変動』 （新評論, 1970年）
『ベンチャー・ビジネス』（平尾光司,中村秀一郎と共著）（日本経済新聞社, 1973年）
『地域主義の時代』 （東洋経済新報社, 1978年）
『80年代の地域振興』 （日本評論社, 1981年）
『地域産業政策』 （東京大学出版会, 1986年）
『グローバル時代の地域づくり』 （ぎょうせい, 1990年）
『21世紀 私立大学の挑戦』 （法政大学出版局, 1999年）
『大淘汰時代の大学自立』 （東洋経済新報社, 2003年）
『日本中小企業政策史』 （有斐閣, 2009年）
『現代日本の大学革新』 （法政大学出版局, 2010年）
『地域創生への挑戦』 （有斐閣, 2010年）
『事業構想力の研究』（事業構想大学院大学出版部, 2013年）
* J.A.シュンペーター『企業家とは何か』 （翻訳書, 東洋経済新報社, 1998年）


清成忠男は、その幅広い知識と経験、卓越したリーダーシップで、日本の教育・研究分野、中小企業、地域社会の発展に多大な貢献を果たした人物として、後世に語り継がれるでしょう。

もう一度検索