武者小路公隆

武者小路公隆

武者小路公隆（むしゃのこうじ きんたか）は、天明5年（1785年）6月17日にこの世に生を受け、安政2年（1855年）4月20日にその生涯を終えた、江戸時代後期の公卿です。約70年にわたるその人生のほとんどを朝廷での勤めに捧げ、高位にまで昇り詰めました。

朝廷での経歴（官歴）

彼の官途は、寛政3年（1791年）にわずか7歳で従五位下に叙されたことから始まります。以降、順調に位階を進め、様々な役職を歴任しました。

寛政3年（1791年）: 従五位下に叙せられる。
寛政9年（1797年）: 従五位上に昇進。
寛政11年（1799年）: 兵部大輔（ひょうぶたいふ）に任じられる。
享和元年（1801年）: 正五位下に昇進。
文化2年（1805年）: 従四位下に昇進。
文化3年（1806年）: 左権少将（さごんのしょうしょう）に任じられる。
文化6年（1809年）: 従四位上に昇進。
文化10年（1813年）: 正四位下に昇進。
文政4年（1821年）: 権中将（ごんのちゅうじょう）に任じられる。
文政5年（1822年）: 従三位に昇進。これにより公卿の列に加わります。
文政9年（1826年）: 正三位に昇進。

公卿となって以降も昇進を続け、朝廷内での存在感を増していきます。

嘉永2年（1849年）: 参議（さんぎ）に任じられると共に、左中将を兼任。
嘉永3年（1850年）: 従二位に昇進。また、徳川家康を祀る重要な祭祀である東照宮への奉幣使（ほうべいし）という大役に任じられます。さらに、権中納言（ごんのちゅうなごん）に昇進し、朝廷の要職に就きました。
嘉永5年（1852年）: 権大納言（ごんのだいなごん）にまで昇り詰めます。

このように、武者小路公隆は寛政年間から嘉永年間にかけて、着実に位階と官職を上げ、最終的に権大納言という公卿の中でも上位の地位に到達しました。彼が生きた時代は、将軍の代替わりが続き、やがて海外からの開国要求が高まり、幕末の動乱へと向かう激動の直前でした。そのような時代において、朝廷の一員として公務に励み、東照宮への奉幣使といった国家的儀式にも関与するなど、朝廷の維持と運営に貢献した人物と言えます。

家系（系譜）

武者小路公隆の父は武者小路実岳（むしゃのこうじ さねたけ）です。そして、彼の子には武者小路実建（むしゃのこうじ さねたけ）がいます。武者小路家は、代々朝廷に仕える公卿の家系であり、公隆もその流れを汲み、家名を高める役割を果たしました。

出典

坂本武雄『公卿辞典』七丈書院、1944年
黒板勝美『公卿補任』吉川弘文館、2000年

これらの史料によって、武者小路公隆の正確な生没年や詳細な官歴が明らかになっています。

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