武藤資頼

武藤資頼の略伝

武藤資頼（むとう すけより）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武将であり、守護であり御家人でした。彼は特に多くの官職を歴任し、その名は歴史に刻まれています。今回は彼の出自や略歴、官職について詳しくお伝えします。

出自について

資頼は藤原道長の血筋を引くとされ、代々武蔵国で知行を持つ武藤氏に属しています。具体的な記録によると、左中将尾張守藤原長頼が武州戸塚郷に降り立ち、武藤中将と名乗った子孫の一人が資頼と言われています。彼の子孫は八幡太郎義家に従って奥州へ出征し、その際、寄懸の紋の旗を受け取ったとの記載もあり、彼が道長の後裔である可能性を示しています。

略歴の概観

資頼は初め、平知盛の部下として活動していましたが、一ノ谷の戦いで彼が知人の梶原景時を頼り、投降することになります。その後、三浦義澄に預けられ、赦された資頼は源頼朝の家人として新たな道を歩むことになります。

頼朝の嫡男である頼家の元服式では、有職故実の指導を行い、さらに奥州合戦に出陣して功績を上げました。この結果、出羽国の大泉庄の地頭に任じられますが、その在任中に修験道の本拠地の羽黒山を侵し、羽黒山の衆徒と対立することになりました。

建久2年（1191年）、彼は頼朝の命により、平盛時と共に伊勢国と志摩国に役人を派遣し、平家の没官領を巡検しました。また、同時期に九州に派遣され、大友能直と共に鎮西奉行としての任務を果たしました。その後、肥前国や筑前国、豊前国、壱岐国、対馬国の守護につき、筑前や筑後の土地を含む多くの所領を獲得しました。

嘉禄2年（1226年）には大宰少弐に任命されます。一般の御家人でありながら、この重要な公家の職に任じられたのは資頼が初めてのことでした。この職は息子の資能にも受け継がれ、以後、少弐姓を名乗ることで、北九州の有力な名族の一つとして発展していきます。

文化的な貢献

仁治3年（1242年）には、博多にある承天寺が資頼によって創建されました。これは円爾（弁円、聖一国師）を招聘し、土地が資頼の喜捨によって成し遂げられたものであり、その創建にあたっては多くの宋商人も関与しています。さらに、彼の位牌と塑像が承天寺の開山堂に安置されています。

また、太宰府市にある観世音寺の北に位置する安養寺の跡地には、武藤資頼の墓とされる五輪塔と少弐資能の供養塔が並んで建てられています。

資頼の官職

資頼は多くの官職を歴任しており、その役割は多岐にわたります。

• - 鎮西奉行（宰府守護所）：鎮西地域の御家人を指揮・統制する職（鎌倉幕府からの任命）
• - 守護職：筑前、豊前、肥前、対馬の守護（鎌倉幕府からの任命）
• - 筑後守：筑後国司（朝廷の官職）
• - 大宰少弐：九州全体を統括し、外交交渉を担当する役職（朝廷からの任命）

このように、武藤資頼は多くの官職に就くことで、彼の存在が歴史的に重要であることを示しています。彼の活動や貢献は、後世にわたり多くの人々に影響を与え続けています。

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