残侠子守唄

残侠子守唄

「残侠子守唄」は、1983年11月1日に美空ひばりによってリリースされたシングルです。この楽曲は、同日に発売された同名のアルバムからのシングルカットとして発表されました。この曲は、任侠の世界をテーマにしたセリフ入りの歌で、当時のカラオケブームと相まって人気を博しました。

制作の背景

当時、美空ひばりは、実兄のように慕っていた鶴田浩二のヒット曲「傷だらけの人生」と曲調が似ていることを理由に、この曲を歌うことに難色を示していました。しかし、当時の担当プロデューサーであった境弘邦や、亡き母に代わってプロデューサーを務めていた弟の加藤哲也の説得にも耳を傾けませんでした。しかし、哲也が体調を崩して入院してしまい、境は哲也に病床からも説得を続けてもらうよう頼みました。最終的に、境はひばりに直接レコーディングだけでもしてほしいと懇願し、ひばりは根負けしてレコーディングを承諾しました。出来栄えは境のイメージ通りに仕上がり、ひばりも最終的にシングル化を許可しました。

悲劇とリリース

「残侠子守唄」は、1983年10月23日にフジテレビの「夜のヒットスタジオ」で初めて披露されました。境は入院中の哲也に、番組が放送されることと感想を聞かせてほしいと伝えましたが、翌24日に哲也は心不全のため42歳の若さでこの世を去りました。哲也は病室で番組を見ており、付き添いの人に「なかなか味があっていいね。あれはやってよかったよ」と境に伝えるように頼んでいたといいます。しかし、結果的にこの曲は哲也がプロデュースした最後の作品となってしまいました。ひばりは、弟の死を聞き、半狂乱になって亡骸に覆いかぶさりながら号泣したと伝えられています。

その後

1984年には、このシングルの2曲に、新しく録音したカバー曲8曲を加えたアルバム「残侠子守唄～'84有線ヒット」が発売されました。また、この曲は1985年発売のアルバム「夢ひとり」にも収録されました。この曲は、美空ひばりの数々の名曲の中でも、特に悲劇的な背景を持つ楽曲として、多くの人々に記憶されています。

収録曲

シングル

1. 残侠子守唄
作詞：たかたかし、作曲：弦哲也
2. 人生吹きだまり
作詞：やしろよう、作曲：伊藤雪彦

アルバム「残侠子守唄」（1983年11月1日発売）

1. 残侠子守唄
2. しのぶ
3. 花しぐれ
4. 夕霧草
5. 木場の女
6. 人生吹きだまり
7. 湯の宿
8. 酒酔草
9. 霧の東京
10. 人生松竹梅

アルバム「残侠子守唄～'84有線ヒット」（1984年3月21日発売）

1. 残侠子守唄
2. 矢切の渡し（ちあきなおみ・細川たかしのカバー）
3. 釜山港へ帰れ（チョー・ヨンピルのカバー）
4. まわり道（琴風豪規のカバー）
5. さざんかの宿（大川栄策のカバー）
6. 人生吹きだまり
7. 冬桜（森進一のカバー）
8. 細雪（五木ひろしのカバー）
9. 兄弟船（鳥羽一郎のカバー）
10. 新宿情話（ムーディー松島・細川たかしのカバー）

アルバム「夢ひとり」（1985年8月21日発売）

1. 夢ひとり
2. ビロードの夜
3. 冬のくちびる
4. 残侠子守唄
5. 裏町酒場
6. 人恋酒
7. おまえに惚れた
8. 真赤な太陽
9. 悲しい酒
10. 柔
11. ひばりの佐渡情話
12. 港町十三番地
13. リンゴ追分
14. 悲しき口笛

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