人恋酒

美空ひばり「人恋酒」の詳細解説

「人恋酒」は、美空ひばりが1981年10月1日にリリースしたシングルです。この曲は、彼女の芸能生活35周年を記念して制作され、実弟であるかとう哲也が初めてプロデュースを手掛けた作品としても注目されました。作詞はたかたかし、作曲は徳久広司が担当し、1980年の「おまえに惚れた」、1981年の「恋女房」に続く、このコンビによる楽曲です。

レコーディング秘話

美空ひばりは通常、楽曲のレコーディングをテストテイクと本番録りの2回で済ませることが多かったのですが、「人恋酒」では異例の事態が起こりました。プロデューサーの境弘邦（現・ミュージックグリッド代表取締役社長）の判断により、テストテイクの音源が商品化されたのです。これは、ひばりの歌唱の自然な魅力が最大限に引き出された結果と言えるでしょう。

受賞と披露

「人恋酒」は、1981年の第7回日本演歌大賞で特別功労賞を受賞しました。この際、発売前の「剣ひとすじ」と共に披露されましたが、授賞式当日はひばりが大阪で舞台出演のため欠席。後日、TBSのスタジオで収録されたVTRが放映されました。司会は玉置宏が務め、制定委員長の吉田正から表彰され、記念のトロフィーとこけしが贈られました。玉置宏は、この曲を「心の底をじっと見つめて歌う『人恋酒』です。」と紹介し、聴衆の心に深く響かせました。

アルバム展開

1982年2月25日には、「人恋酒」をメインとしたオリジナルおよびカバーアルバム「人恋酒〜最新演歌名曲名唱集」が発売されました。このアルバムは、他アーティストのヒット曲をひばり独自の解釈で歌い上げた意欲作であり、2000年11月18日には「美空ひばり復刻盤2」として再発売されました。また、「人恋酒」は、1982年7月21日に発売されたアルバム「裏町酒場」にも収録されています。さらに、1985年8月21日発売のアルバム「夢ひとり」にも収録されており、彼女の代表曲の一つとして広く認知されています。

B面「おんなの涙」

シングルのB面には、明るい曲調の「おんなの涙」が収録されています。美空ひばりは、1982年5月2日に開催された博多どんたくの前夜祭でこの曲を披露しました。当日、ひばりは風邪で喉のコンディションが万全ではありませんでしたが、「裏町酒場」や往年のヒット曲と共にその歌声を聴かせました。

カラオケ本人映像

「人恋酒」のカラオケ本人映像は、1988年11月29日に撮影されました。この映像は、「ひとりぼっち」「おまえに惚れた」「裏町酒場」など、他の代表曲と共に収録され、現在もDAMで視聴することができます。ファンにとっては、若き日のひばりの姿を偲ぶことができる貴重な映像です。

収録曲

1. 人恋酒
2. おんなの涙

アルバム「人恋酒〜最新演歌名曲名唱集」収録曲

1. 人恋酒
2. 哀愁の高山（竜鉄也のカバー）
3. 風雪ながれ旅（北島三郎のカバー）
4. 夫婦舟（三笠優子のカバー）
5. ふたり酒（川中美幸のカバー）
6. 舟唄（八代亜紀のカバー）
7. みちのくひとり旅（山本譲二のカバー）
8. 大阪しぐれ（都はるみのカバー）
9. 奥飛騨慕情（竜鉄也のカバー）
10. 人生かくれんぼ（五木ひろしのカバー）
11. 他人酒（渥美二郎のカバー）
12. おんなの涙

アルバム「裏町酒場」収録曲

1. 裏町酒場
2. 人恋酒
3. おまえに惚れた
4. 恋女房
5. おんなの涙
6. 時雨の宿
7. 哀愁の高山（竜鉄也のカバー）
8. 人生かくれんぼ（五木ひろしのカバー）
9. 大阪しぐれ（都はるみのカバー）
10. 夫婦舟（三笠優子のカバー）
11. ふたり酒（川中美幸のカバー）
12. 奥飛騨慕情（竜鉄也のカバー）

アルバム「夢ひとり」収録曲

1. 夢ひとり
2. ビロードの夜
3. 冬のくちびる
4. 残侠子守唄
5. 裏町酒場
6. 人恋酒
7. おまえに惚れた
8. 真赤な太陽
9. 悲しい酒
10. 柔
11. ひばりの佐渡情話
12. 港町十三番地
13. リンゴ追分
14. 悲しき口笛

「人恋酒」は、美空ひばりの円熟した歌唱力が際立つ一曲であり、彼女の代表作として長く愛され続けています。

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