任礼

任礼（じん れい）

任礼（1380年 - 1465年）は、明代の軍人であり、字を尚義と称しました。彼の出身は彰徳府臨漳県です。生涯を通して数々の戦功を立て、明朝の安定に貢献しました。

生涯

建文帝の時代に靖難の変が勃発すると、任礼は燕山衛の兵士として燕王朱棣（後の永楽帝）の挙兵に従い、その軍功によって山東都指揮使に昇進しました。1422年（永楽20年）には都督僉事に抜擢され、永楽帝の第三次漠北遠征に参加し、敵情偵察の先鋒を務めました。遠征からの帰還後、その功績を称えられ、手厚い褒賞を受けました。

1424年（永楽22年）に洪熙帝が即位すると、任礼は広西都司事を管掌するよう命じられました。しかし、1425年（洪熙元年）3月には北京に召還され、間もなく掌遼東都司事に転じ、同年10月には都督同知に進みました。1426年（宣徳元年）には漢王朱高煦の反乱鎮圧に従軍し、楽安の平定に貢献しました。1428年（宣徳3年）にはウリャンカイに対する親征にも参加し、宣徳帝が軍を返す際には殿軍を務めました。1435年（宣徳10年）5月には右都督に昇進し、同年9月には左都督となりました。

1436年（正統元年）、任礼は平羌将軍の印を受け、左副総兵として甘粛に駐屯しました。しかし、北元の指導者アダイ・ハーンやドルジ・ベクがたびたび粛州を侵犯したため、英宗から譴責を受けました。1437年（正統2年）、モンゴル軍が荘浪に侵攻した際、都指揮の魏栄がこれを撃退し、ドルジ・ベクの甥であるバト・ボラドを捕らえた功績を任礼は朝廷に報告しました。1438年（正統3年）、王驥や蔣貴とともに塞外に進軍し、ドルジ・ベクを石城で破りました。その後、軍を分けて梧桐林・エチナを経て黒泉まで進軍し、帰還しました。同年4月には寧遠伯に封じられました。1439年（正統4年）には北京に戻り、1440年（正統5年）には蔣貴に代わって再び甘粛に駐屯しました。

1443年（正統8年）、赤斤蒙古衛都督のスナンシュジャがオイラトのエセンの圧迫に苦しみ、也洛卜剌への移住を希望しましたが、任礼は粛州に近いことを理由にこれを許可しませんでした。その後、スナンシュジャが也洛卜剌に寺を建立したいと申し出た際も、任礼は寺を建てればスナンシュジャが必ず移住し、後々問題を残すと進言し、寺の建立を阻止しました。また、辺境の将軍の家臣が長城内外で農地を開墾した場合、1頃あたり12石の食糧を輸送する義務があったのですが、任礼はこれを朝廷に訴え、4石減額させました。

1446年（正統11年）、沙州衛都督の喃哥兄弟が争い、その部隊が分裂した際、任礼はこの分裂を利用して喃哥を内地に移住させようとしました。喃哥も粛州境内への移住を希望したため、任礼は都指揮の毛哈剌を派遣して喃哥の部隊を鎮撫し、自らも兵を率いてその後に続きました。しかし、喃哥は両端を持っており、部下にはオイラトに逃亡しようとする者もいたため、任礼は軍を進めて喃哥を包囲し、部下1200人あまりを捕縛して帰還しました。オイラトのエセンが勢力を増し、喃哥の弟である鎖南奔を祁王に封じると、任礼は鎖南奔がオイラトに合流すればオイラトの勢力拡大を抑えるのが難しくなると考え、人を派遣して鎖南奔を招こうとしました。1448年（正統13年）、鎖南奔が決断を先延ばしにしたため、任礼は密かに軍を罕東に進め、鎖南奔を捕らえて帰還しました。同年9月には、任礼は英宗から鉄券を賜り、爵位の世襲を許されました。

1449年（正統14年）、エセン・ハーンが別れて侵入し、粛州を攻撃した際、任礼は裨将を派遣してこれを防御しましたが、二戦二敗し、多数の兵士と馬を失いました。この失態により、任礼は北京に召還され、邸に蟄居させられました。1450年（景泰元年）には三千営を提督しましたが、高齢を理由に辞職しました。しかし、1451年（景泰2年）11月には南京守備として再任され、中府事を兼任しました。1465年（成化元年）1月に死去。死後、寧遠侯の位を追贈され、諡を僖武とされました。

任礼の息子である任寿が寧遠伯の爵位を継承しました。

脚注

参考文献:
『明史』巻155 列伝第43

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