気象庁松代地震観測所

気象庁松代地震観測所について

気象庁松代地震観測所は、長野県長野市松代町にある気象庁の地震観測施設です。正式名称は「気象庁地震火山部地震津波監視課松代地震観測所」で、舞鶴山の南山麓、かつて松代大本営が置かれる予定だった場所を利用しています。ここは日本最大級の地震観測施設であり、地震研究において重要な役割を果たしてきました。

概要

松代地震観測所は、高感度地震計の設置に最適な立地条件を備えています。海岸から離れているため波浪の影響を受けにくく、都市部からも距離があるため生活振動の影響も少ないです。また、観測所がある場所は安定した岩盤（閃緑ひん岩と黒色頁岩）で構成されています。これらの条件から、1947年に中央気象台松代分室が設置され、地震観測が始まりました。

主要な地震計は、舞鶴山山頂下100mの地下坑道内、旧松代大本営の跡地に設置されています。1965年から始まった松代群発地震では、貴重なデータが多数収集され、日本の地震観測研究における中心的な役割を担いました。

なお、観測所内にある松代地震センターは、地震観測所とは異なる組織です。

沿革

観測所の歴史は以下の通りです。

1944年11月11日：大本営移転工事が開始されましたが、1945年8月15日の終戦により工事は中止されました。
1947年5月1日：旧大本営予定地の洞窟に「中央気象台松代分室」が設置されました。
1948年2月13日：「中央気象台松代地震観測所」に改称されました。
1949年5月7日：ウィーヘルト地震計による観測が開始され、その後も様々な地震計や傾斜計が設置されました。
1949年6月1日：「地震観測所」に改称されました。
1950年8月1日：1トン長周期地震計による観測が開始されましたが、1966年4月11日に観測は終了しました。
1951年4月1日：百葉箱が設置され、気象観測が開始されました。
1953年9月3日：石英ガラス管伸縮計による観測が開始されました。
1965年8月3日：ひずみ地震計による観測が開始されるとともに、松代群発地震が発生しました。
1967年2月8日：関係省庁、地震観測所、長野県による協議体「松代地震センター」が設立されました。
1983年4月1日：群列地震観測システムが運用開始されました。
1988年9月1日：STS-1型超広帯域地震計による観測が開始されました。
1992年4月1日：震度計による計測震度観測が開始されました。
1995年4月1日：「気象庁地震火山部地震津波監視課精密地震観測室」に改称されました。
1996年3月21日：計測震度計の機能が強化されました。
1996年6月25日：STS-2型地震計による観測が開始されました。
1997年11月28日：群列地震観測システムに中尾根観測点が追加され運用が開始されました。
2001年10月3日：多点大口径アレイシステム(SATELAA)を用いた遠地地震震源計算の試行が開始されました。
2003年7月29日：LISS(Live Internet Seismic Server)を用いた遠地地震震源通報の試行が開始されました。
2005年3月28日：北西太平洋津波情報センター業務の支援を開始しました。
2007年10月30日：群列地震観測システムの伝送装置・処理装置が更新されました。
2008年3月28日：ボアホール型広帯域地震計が整備されました。
2014年4月1日：「気象庁地震火山部地震津波監視課松代地震観測所」に再び改称されました。
2016年4月1日：地震解析業務が気象庁本庁に移管され、松代地震観測所は無人化されました。観測所の施設や機器の維持管理は長野地方[[気象台]]が担当しています。

組織

職員が常駐していた当時の組織は以下の通りです。

国土交通省
気象庁
地震火山部
地震津波監視課
松代地震観測所
所長
技術専門官
現業班

任務

観測所の主な任務は以下の通りです。

中規模以上の地震の精密観測および通報
地殻変動の観測
地震観測機器の保守、試験、改良
各種調査研究業務
地震観測報告の刊行と配布
国際協力

国際協力

観測所は国際的な協力も行っています。

包括的[[核実験禁止条約]]に基づく共同観測
IRIS(Incorporated Research Institution for Seismology)の日本観測点
気象庁地震火山部、アメリカ[[地質調査所]]などに対する地震観測報告
地下[核実験]]の探知（包括的[[核実験禁止条約]に基づく日本気象協会による地下核実験の探知(PS22)）

LISS & BUD

米国地質調査所のLISSとIRISのBUDからリアルタイムでデータを取得し、全世界の地震の震源や規模（松代マグニチュード）を決定し、気象庁本庁に通知しています。

主要観測機器

観測所では以下の様な観測機器が使用されています。

短周期地震計
短周期上下動地震計
長周期地震計
90型計測震度計
群列地震観測システム(MSAS)
石英管式水平歪み計 2基
水管傾斜計
電磁式強震計
STS-2型地震計
ボアホール式広帯域地震計 CMG-3TB
加速度計 CMG-5TB

資料館の主な展示物

観測所には資料館があり、以下の様な展示物があります。

ウィーヘルト式地震計
ガッチリン地震計
大森式地震計
ミルン式地震計
世界標準地震計（USCGS）
ベニオフ式短周期地震計
プレス・ユーイング式長周期地震計
石本式高倍率地震計
ウッド・アンダーソン式地震計
簡単地震計
普通地震計
59型光学式電磁地震計
59型直視式電磁地震計、59B型
61型直視式電磁地震計
67型電磁地震計

交通アクセス

所在地：長野県長野市松代町西条3511

公共交通機関：
JR・長野電鉄長野駅から路線バスで約40分、「松代高校」バス停下車、徒歩約20分。
JR篠ノ井駅やしなの鉄道・屋代駅からも路線バスが運行。
長野駅からタクシーで約30分、または松代駅からタクシーで約10分。
自家用自動車：
上信越自動車道・長野インターチェンジから約10分。

関連項目

松代地震センター

外部リンク

松代地震観測所
* 現場力 File.15 (PDF)

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