気象援助局

気象援助局とは

気象援助局とは、電波法に基づき、気象観測や水象観測を行うために設置される無線局のことです。具体的には、ラジオゾンデや気象用ラジオ・ロボットなどが該当し、これらの機器を用いて、気温、湿度、風向、風速などの気象要素や、河川や湖沼の水位、流量などの水象要素を観測します。

定義

総務省令の電波法施行規則において、気象援助局は「気象援助業務を行う無線局」と定義されています。さらに、気象援助業務とは、「水象を含む気象上の観測及び調査のための無線通信業務」と定められています。つまり、気象援助局は、大気の状態や水の状態を観測し、そのデータを無線で送信する役割を担っています。

概要

気象援助局は、その名の通り、気象観測を目的とした無線機器で構成されています。また、水象観測も含まれるため、湖沼、河川、海洋などの水位や流量を観測する機器も含まれます。

代表的な機器としては、上空の気象データを観測するラジオゾンデや、地上や水上で気象データを収集する気象用ラジオ・ロボットがあります。かつては気象レーダーも気象援助局として免許されていましたが、現在は無線標定陸上局として扱われています。

免許

気象援助局の免許には、いくつかの特徴があります。

種別コード: SM
有効期間: 免許の日から5年
無線局の目的: 公共業務用（PUB）
通信事項: 気象業務に関する事項（CWS）、気象庁の場合は気象警報に関する事項（CWB）も含む

ラジオゾンデや気象用ラジオ・ロボットは、技術基準に適合した無線設備であれば、簡易な免許手続が適用され、予備免許や落成検査が省略されます。以前は、無線機器の検定に合格したものが簡易な免許手続の対象でしたが、現在は特定無線設備の技術基準適合証明制度に移行しています。

簡易な免許手続の対象外の場合でも、登録検査等事業者の点検を受けることで、落成検査の一部が省略される場合があります。

用途

気象援助局の主な用途は以下の通りです。

気象観測：気象庁などの気象観測機関が、気温、湿度、風向、風速などの気象要素を観測します。
水象観測：河川事務所などが、ダム、湖沼、河川の水位や流量を観測します。
その他：電気事業者や宇宙開発事業者なども利用しています。

電波型式、周波数、空中線電力

ラジオゾンデや気象用ラジオ・ロボットで使用される電波型式、周波数、空中線電力は、電波法関連規則で細かく規定されています。

例えば、2009年以降に導入されたデジタル方式のラジオゾンデでは、特定の周波数帯と空中線電力が指定されています。また、日本周辺海域の流向・流速観測用には、1764kHz、3W以下の電波が使用されます。

通信の相手方

気象援助局の電波は、原則として、免許人が所有する受信設備でのみ受信されます。

表示

適合表示無線設備には、技適マークと技術基準適合証明番号または工事設計認証番号の表示が義務付けられています。ラジオゾンデや気象用ラジオ・ロボットには、番号の英字の1-2字目に「SY」が記されます。

以前は、工事設計認証番号の表示も必要でしたが、現在は不要になっています。また、かつて無線機器型式検定の対象であったラジオゾンデには、検定マーク、検定番号、機器の型式名の表示が義務付けられていました。

旧技術基準の機器の免許

技術基準の改正により、旧技術基準に基づく無線設備は、条件なしで免許される期限が定められていました。また、使用期限についても定められていましたが、コロナ禍の影響により、現在は「当分の間」延期されています。

ラジオゾンデ

ラジオゾンデは、技術の高度化に伴いデジタル方式に移行しました。以前のアナログ方式のラジオゾンデは、免許の有効期限が2019年6月25日をもって終了し、現在は使用できません。

操作

気象援助局は、原則として陸上の無線局であり、陸上系の無線従事者による管理が必要です。ただし、ラジオゾンデや気象用ラジオ・ロボットなどの一部の機器は、無線従事者を必要としない簡易な操作が認められています。

検査

気象援助局は、簡易な免許手続の対象であれば、落成検査が省略されます。また、登録検査等事業者の点検を受けることで、落成検査の一部が省略される場合があります。定期検査は、電波法関連規則により行われません。

沿革

気象援助局の歴史は、電波法施行規則が制定された1950年に遡ります。当初は、気象援助業務は「特別な無線信号を発射して、水理学を含む気象上の観測及び調査を行う業務」と定義され、免許の有効期限は5年以内と定められました。

その後、気象援助局は様々な変遷を経て、現在に至ります。主な出来事としては、無線機器型式検定制度の導入、ラジオゾンデのデジタル化、電波利用料制度の導入などが挙げられます。

電波利用料額

気象援助局の電波利用料は、電波法別表第6第1項の「移動する無線局」が適用されます。

まとめ

気象援助局は、気象観測や水象観測に欠かせない重要な無線局です。技術の進歩とともに、その役割や運用方法も変化してきましたが、今後も私たちの生活に貢献し続けるでしょう。

脚注

電波法
電波法施行規則
無線設備[[規則]]
特定無線設備の技術基準適合証明等に関する[[規則]]

関連項目

無線局

外部リンク

* 総務省

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