水上 (列車)

特急「水上」：上野と水上を結んだ列車の歴史

特急「水上」は、かつて東日本旅客鉄道（JR東日本）が上野駅 - 水上駅間を、東北本線・高崎線・上越線経由で運行していた臨時特急列車です。水上温泉郷への観光客輸送を目的として運行を開始し、上越新幹線開業後は通勤輸送の一端も担いました。しかし、利用者の減少により2010年に定期運行を終了し、現在は年末年始に臨時列車として運行されています。

運行の歴史

1957年（昭和32年）に臨時準急「ゆけむり」として上野駅 - 石打駅間で運行を開始したのが、「水上」のルーツです。その後、「奥利根」「みくに」など、様々な名称で上越線方面への優等列車が運行されました。

1982年（昭和57年）には、特急「谷川」が登場。しかし、1997年（平成9年）に上越新幹線の列車名として「たにがわ」が採用されたため、「谷川」は「水上」に名称変更されました。最盛期には、冬季にスキー客輸送のため石打駅まで、夏季には越後湯沢駅まで延長運転されることもありました。

しかし、上越新幹線や関越自動車道の利用増加に伴い、「水上」の利用者は減少。2010年（平成22年）12月3日をもって定期列車としての運行を終了し、翌日からは臨時列車として運転されています。

運行概況

現在は臨時列車として上野駅 - 水上駅間で運転されています。かつては、「草津」と比較して渋川駅 - 水上駅間の空席が目立ったため、徐々に運転本数が減少しました。2012年（平成24年）3月17日のダイヤ改正以降は運転日がさらに縮小され、「草津」との併結運転も取り止められました。

停車駅

上野駅 - 赤羽駅 - 浦和駅 - 大宮駅 - 熊谷駅 - 高崎駅 - 新前橋駅 - 渋川駅 - 沼田駅 - 水上駅

過去には、上尾駅、桶川駅、鴻巣駅、新町駅、後閑駅、上牧駅にも停車する列車がありました。

使用車両

現在はE653系1000番台（勝田車両センター所属）が使用されています。過去には、以下の車両が使用されていました。

651系1000番台（大宮総合車両センター所属）
183系1000番台
185系

沿革

1957年（昭和32年）：上野駅 - 石打駅間に臨時準急列車「ゆけむり」運行開始
1958年（昭和33年）：臨時準急「奥利根」が上野駅 - 越後湯沢駅間で運転開始
1959年（昭和34年）：「ゆけむり」の名称を「みくに」に変更
1960年（昭和35年）：毎日運行の臨時準急列車「ゆのさと」の運行開始
1961年（昭和36年）：「奥利根」の新宿駅 - 水上駅間を中央本線・八高線・上越線経由とし、従来の高崎線経由列車を「苗場」に名称変更。臨時準急列車「上越いでゆ」が上野駅 - 水上駅間で運転開始
1962年（昭和37年）：「上越いでゆ」が廃止
1964年（昭和39年）：準急「みなかみ」が上野駅 - 水上駅間で運転開始。八高線経由の「奥利根」は運行を週末に限定し名称を「みくに」に変更
1965年（昭和40年）：上野駅 - 水上駅・石打駅間の準急「みなかみ」「苗場」「奥利根」を「奥利根」に統一。八高線経由の「みくに」は廃止。上野駅 - 前橋駅・渋川駅間で準急「はるな」が運転開始
1966年（昭和41年）：「奥利根」「はるな」が急行列車化。「はるな」の上野駅 - 前橋駅間が「あかぎ」に統合
1968年（昭和43年）：上野駅 - 水上駅・石打駅間の急行「奥利根」・上野駅 - 渋川駅間の急行「はるな」を「ゆけむり」に変更
1969年（昭和44年）：上野駅 - 石打駅間を運行する臨時特急列車「新雪」（しんせつ）運行開始
1976年（昭和51年）：「ゆけむり」の高崎行き下り1本を快速列車化
1982年（昭和57年）：ダイヤ改正で急行「ゆけむり」の一部を格上げし、特急「谷川」（たにがわ）とする
1985年（昭和60年）：急行「ゆけむり」を廃止し、「谷川」に統合。「谷川」はエル特急化され、「新特急谷川」と称し5往復体制となる
1987年（昭和62年）：臨時特急「新雪」の運行を終了
1997年（平成9年）：上越新幹線東京駅 - 高崎駅・越後湯沢駅間の列車を「たにがわ」とし、「新特急谷川」は「新特急水上」（しんとっきゅうみなかみ）に変更
2002年（平成14年）：エル特急および新特急呼称廃止のため、特急「水上」に変更
2010年（平成22年）12月：利用客減少により、定期運行を廃止し臨時列車化

関連事項

あかぎ (列車)
草津 (列車)
たにがわ (列車)

特急「水上」は、時代の流れとともに姿を変えながらも、上野と水上を結ぶ役割を果たしてきました。臨時列車として、その名を末永く残してほしいものです。

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