水郡線統括センター

JR東日本 水郡線統括センター

水郡線統括センターは、茨城県久慈郡大子町に位置する東日本旅客鉄道（JR東日本）の組織で、水郡線の円滑な運行を支える役割を担っています。具体的には、水戸支社の管轄下に置かれ、水郡線で勤務する駅員や、列車の運転士・車掌といった乗務員が所属しています。この組織は、2022年3月12日に既存の水郡線営業所を改組する形で設立されました。

また、常陸大子駅の西側には車両基地が併設されており、ここに首都圏本部が管轄する車両検修部門である「勝田車両センター大子派出所」が設置されています。本記事では、水郡線統括センター本体だけでなく、この大子派出所についても併せて解説します。

組織と担当範囲

水郡線統括センターは、水郡線沿線の主要な駅の運営を担当するとともに、全線の乗務員を擁しています。担当駅は以下の通りです。

常陸大子駅（所長が所在）
常陸大宮駅
玉川村駅
野上原駅
山方宿駅
中舟生駅
下小川駅
西金駅
上小川駅
袋田駅
下野宮駅
矢祭山駅
東館駅
南石井駅
磐城石井駅
磐城塙駅
近津駅
中豊駅
磐城棚倉駅
磐城浅川駅
里白石駅
磐城石川駅
野木沢駅
川辺沖駅
泉郷駅
川東駅
小塩江駅
谷田川駅
磐城守山駅

乗務員は、水郡線の全区間に加え、水郡線から列車が乗り入れる東北本線の安積永盛駅から郡山駅の間を担当しています。

車両基地と配置車両

常陸大子駅構内に設けられた車両基地には、勝田車両センター大子派出所が置かれ、水郡線で運行される車両のメンテナンスや管理が行われています。2024年4月1日現在、以下の車両が配置されています。

キハE130系気動車（合計39両）
両運転台構造のキハE130形：13両（1番台～13番台）
片運転台構造のキハE131形・キハE132形：各13両（1番台～13番台）。これらが2両編成13本を組成しています。

配置車両の車体に記される略号は、かつて「水スイ」（水郡線営業所時代）や「水タイ」（常陸大子運輸区時代）でしたが、現在は「都スイ」が使用されています。これは、首都圏本部を示す「都」と水郡線を示す「スイ」を組み合わせたものです。ただし、今後は車両への略号表記自体が順次省略される傾向にあるため、実質的に「都カツ」（首都圏本部勝田車両センター）といった新しい表記が車体に記されることはありません。

過去の配置車両

過去には以下の車両が配置されていました。

キハ110系気動車：両運転台のキハ110形100番台が17両、片運転台のキハ111形・キハ112形100番台が2両編成で10本、同じく150番台が2両編成で2本が配置されていました。しかし、後継となるキハE130系の導入に伴い、盛岡車両センター、小牛田運輸区、新津運輸区へ転出し、現在は配置がありません。
マニ50形客車（2186号）：この車両は、勝田車両センターに配置されていた485系ジョイフルトレイン「リゾートエクスプレスゆう」編成が非電化区間である水郡線などに乗り入れる際に、ディーゼル機関車に牽引されて連結された電源車でした。「ゆう」編成のサービス機器へ電力を供給するためのディーゼル発電機を搭載しており、救援車としての機能も有していました。また、旧型の自動空気ブレーキと新しい電磁直通ブレーキ・電気指令式ブレーキを相互に変換する装置を備えていたため、新系列電車を配給回送する際などにも使用されることがありました。通常は水戸駅構内に留置されていました。2018年7月26日に長野総合車両センターへ回送された後、一時的に除籍されましたが、2019年7月3日に東急電鉄へ譲渡され、観光列車「THE ROYAL EXPRESS」用の電源車として現在も活躍しています。

沿革

水郡線の運営組織は、時代の変化とともに改編されてきました。

1992年3月1日：常陸大子運輸区と水郡線の有人駅における営業部門が統合され、「水郡線営業所」が発足しました。この営業所は、営業科、運輸科、保線科の3部門体制で、水郡線全体の運営を担いました。
2007年以降：何度か「水郡線営業所まつり」が開催され、地域住民や鉄道ファンに親しまれました。
2018年7月：組織改編により、営業所内の保線科が水戸保線技術センターへ移管され、「水戸保線技術センター常陸大子エリアセンター」として独立しました。
2022年3月12日：水郡線営業所が「水郡線統括センター」へと名称を変更し、組織体制が再編されました。
2022年10月1日：水戸営業統括センターの発足に伴い、それまで水郡線統括センターが担当していた上菅谷駅の業務が水戸営業統括センターへ移管されました。
2024年10月1日：水郡線統括センターが管轄していた車両検修部門が、首都圏本部の勝田車両センターへ移管され、「勝田車両センター大子派出所」として再編成されました。これにより、車両の検修業務は首都圏本部の直轄となりました。

このように、水郡線統括センターは組織改編を経て、現在も水郡線の安全・安定輸送を支える重要な拠点として機能しています。

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