永井信一

永井信一：日本の美術史研究に貢献した巨匠

永井信一氏(1925年12月9日-)は、日本の美術史研究において重要な役割を果たした美術史家、美術評論家です。神戸市生まれで、女子美術大学名誉教授の称号も持つ彼は、長年にわたる教育活動と研究活動を通して、日本の美術史研究に多大な貢献をしました。

学術的キャリア

永井氏は京城帝国大学予科在学中に第二次世界大戦の終戦を迎えました。戦後、旧制松本高等学校理科甲類に編入し、1948年には東北帝国大学文学部東洋芸術史学科を卒業。その後、東北帝国大学助手、女子美術大学芸術学部講師、助教授、教授とキャリアを重ね、1989年から1991年までは女子美術大学付属高等学校・中学校長を務めました。1991年には女子美術大学を定年退職し、名誉教授となりました。同年に沖縄県立芸術大学教授に就任し、1999年に退職しています。

研究と著作活動

永井氏の研究分野は多岐に渡り、日本の美術史、特に仏像や寺院に関する研究で広く知られています。その専門性を活かし、数多くの著書や翻訳、共編著を発表しました。

主な著書には以下が含まれます。

『風土に生きる仏像』(里文出版)
『日本・アジア美術探索』(東信堂)

これらの著書は、永井氏の深い知識と洞察力を示しており、日本の美術史研究に重要な貢献をしました。

さらに、永井氏は翻訳にも携わっており、『美と日本人の歴史』(文藝春秋新社、ブラッドレイ・スミス、金井圓共訳)などがあります。この翻訳は、日本の美術と文化を海外に紹介する上で重要な役割を果たしました。

また、共編著として多数の作品を発表しています。以下はその一部です。

『日本近代美術の歩み』(社会思想社、小倉忠夫・西沢信弥共著)
『日本古寺巡礼』(社会思想社、佐藤昭夫・水野敬三郎共著)
『熊野』(講談社、渡部雄吉写真)
『美術の旅』(小学館、古屋信二共著)
『美術史』(近藤出版社、久野健・辻惟雄共著)
『美術館めぐり』(文化出版局、三杉隆敏共著)
『下村観山』(集英社)
『日本美術小事典』(角川書店、町田甲一共編)
『円空と木喰』(講談社、丸山尚一と解説、田枝幹宏写真)
『日本古寺美術全集』(集英社、複数巻)
『明治・大正・昭和の仏画仏像』(小学館)
『杉山寧/松岡映丘』(集英社、小川正隆共編)
* 『遥かなる斑鳩の里』(ぎょうせい、黒岩重吾共編)

これらの共編著は、日本の美術史研究における様々な側面を網羅しており、多様な視点からの研究を促進しました。

永井信一氏の貢献

永井信一氏の生涯にわたる教育活動と研究活動は、日本の美術史研究に計り知れない貢献を果たしました。彼の著作は、後世の研究者や美術愛好家にとって貴重な資料であり、日本の美術文化の理解を深める上で大きな役割を果たしています。その功績は、日本の美術史研究の発展に大きく寄与し、今後も高く評価されることでしょう。

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