江原道 (日本統治時代)

江原道（こうげんどう、カンウォンド）

江原道は、日本統治時代の朝鮮における行政区画の一つで、現在の朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の江原道と、大韓民国（韓国）の江原特別自治道および慶尚北道蔚珍郡を合わせた地域にあたります。道庁は春川に置かれていました。

概要

江原道は朝鮮半島の中部、日本海側に位置し、北は咸鏡南道、西は黄海道・京畿道、南は忠清北道・慶尚北道と接していました。その面積は近畿地方に匹敵する広大なものでした。

人口

昭和11年（1936年）の現住戸口調査によると、江原道の総人口は1,529,071人で、その内訳は以下の通りです。

内地人：15,019人
朝鮮人：1,513,276人
その他：776人

行政区分

昭和20年（1945年）当時、江原道は以下の郡と邑、面に区分されていました。

春川郡：春川邑、新東面、東面、東山面、南面、西面、史内面、史北面、新北面、北山面
麟蹄郡：麟蹄面、南面、北面、瑞和面、麒麟面、内面
楊口郡：楊口面、北面、方山面、水入面、亥安面、東面、南面
淮陽郡：淮陽面、上北面、下北面、蘭谷面、泗東面、安豊面、内金剛面
通川郡：高底邑、通川面、歙谷面、鶴一面、松田面、碧養面、臨南面
高城郡：高城邑、長箭邑、外金剛面、西面、水洞面、県内面、巨津面、杆城面
襄陽郡：束草邑、襄陽面、降峴面、土城面、竹旺面、西面、巽陽面、県北面、県南面
江陵郡：江陵邑、注文津邑、墨湖邑、城山面、鏡浦面、沙川面、連谷面、城徳面、江東面、邱井面、旺山面、玉渓面
三陟郡：三陟邑、北坪邑、近徳面、遠徳面、上長面、下長面、所達面、蘆谷面、未老面
蔚珍郡：蔚珍面、北面、西面、近南面、遠南面、箕城面、平海面、温井面
旌善郡：旌善面、東面、南面、北面、臨渓面、新東面
平昌郡：平昌面、美灘面、芳林面、大和面、蓬坪面、珍富面、道岩面
寧越郡：寧越面、下東面、上東面、北面、西面、南面、両辺面、水周面
原州郡：原州邑、所草面、好楮面、地正面、建登面、富論面、貴来面、興業面、板富面、神林面
横城郡：横城面、隅川面、安興面、屯内面、甲川面、晴日面、公根面、書院面
洪川郡：洪川面、化村面、斗村面、乃村面、瑞石面、東面、南面、西面、北方面
華川郡：華川面、看東面、下南面、上西面
金化郡：金化邑、近東面、近南面、西面、近北面、金城面、遠東面、遠南面、遠北面、昌道面、通口面、任南面
鉄原郡：鉄原邑、東松面、葛末面、於雲面、北面、乃文面、馬場面、寅目面、畝長面、新西面
平康郡：平康邑、県内面、南面、西面、木田面、楡津面、洗浦面
伊川郡：伊川面、龍浦面、東面、安峡面、西面、鶴鳳面、山内面、楽壌面、板橋面、方丈面、熊灘面

歴代江原道知事

1919年8月以前は「道長官」という名称で、その後の行政長官が江原道を統治しました。

法院（裁判所）

昭和16年（1941年）当時、以下の裁判所が設置されていました。

京城地方法院春川支庁
京城地方法院鉄原支庁
京城地方法院原州支庁

警察

昭和2年（1927年）当時、江原道には以下の警察署が設置されていました。

江原道警察部
春川警察署
麟蹄警察署
楊口警察署
淮陽警察署
通川警察署
高城警察署
襄陽警察署
江陵警察署
三陟警察署
蔚珍警察署
旌善警察署
平昌警察署
寧越警察署
原州警察署
横城警察署
洪川警察署
華川警察署
金化警察署
鉄原警察署
平康警察署
伊川警察署
金城警察署

憲兵警察制度下の憲兵部隊

大正4年（1915年）当時、以下の憲兵部隊が配置されていました。

春川憲兵隊
春川憲兵分隊
原州憲兵分隊
寧越憲兵分隊
蔚珍憲兵分隊
三陟憲兵分隊
麟蹄憲兵分隊
杆城憲兵分隊
淮陽憲兵分隊
金化憲兵分隊
鉄原憲兵分隊

税務

昭和16年（1941年）当時、春川税務署が設置されていました。

春川税務署

気象

昭和17年（1942年）当時、江陵測候所が設置されていました。

江陵測候所

鉄道

昭和20年（1945年）当時、江原道には以下の鉄道が運行していました。

総督府鉄道：京元線、京慶線、東海線
私鉄：京春鉄道、三陟鉄道鉄岩線、三陟鉄道三陟線、三陟鉄道墨湖港線、京城電気金剛山電鉄線

道路

昭和2年（1927年）当時、以下の道路が整備されていました。

一等道路：京城元山線、慶州襄陽線、金化忠州線、金化南川店線、通川新安駅線、金化高城線、忠州江陵線、栄川蔚珍線
二等道路：京城五里津線、京城江陵線、元山襄陽線

港湾

昭和6年（1931年）当時、以下の港湾が利用されていました。

地方港：庫底港、長箭港、注文津港、汀羅港、烽燧港、巨津港、束草港、大浦港、墨湖港、竹辺港、厚浦港

鉱山

江原道には多くの鉱山が存在し、以下のものが知られています。

水出金山
泉浦金山
井谷（セイコウ）金山
中川昌道鉱山
金剛鉱山
三和鉄山

特に井谷金山と三和鉄山は是川鉱業が鉱業権を所有し、開発を行っていました。是川鉱業の社主は、後に最後の相場師と言われた是川銀蔵です。

神社

江原道には以下の神社が建立されていました。

江原神社
江陵神社
鉄原神社
原州神社
麟蹄神社

企業

昭和15年（1940年）当時、道内に本社を有する資本金50万円以上の企業として、以下のものが存在していました。

運輸業：金剛山電気鉄道
卸売小売業：江原殖産

マスメディア

昭和20年（1945年）8月当時、以下のラジオ放送局が運営されていました。

朝鮮放送協会春川放送局（呼出符号：JBMK）
朝鮮放送協会江陵放送局（呼出符号：JBRK）
朝鮮放送協会長箭補助放送所

出身有名人

この時代に江原道で生まれ育った、または活躍した人物として、以下の人々が挙げられます。

張成沢（北朝鮮の政治家）
金永春（北朝鮮の政治家・軍人）
鄭周永（韓国の資本家）
李孝石（小説家）

外部リンク

* 是川製鉄の溶鉱炉が韓国最初の溶鉱炉として文化財に登録　中央日報（日本語版）

もう一度検索