池上電気鉄道の電車

池上電気鉄道の電車

池上電気鉄道（後の東京急行電鉄池上線）で使用された電車について解説します。

乙号電車

1922年、池上電気鉄道が開業時に導入した木造2軸ボギー電動客車です。車両番号はデハ1・デハ2。駿遠電気（後の静岡鉄道）から譲り受けた車両で、新造予定の甲号電車の設計が間に合わず、急遽調達されました。書類上は日本車輌製造で製造された新車でしたが、実際は中古車だったとされています。

電装品は東洋電機製造製で、50馬力の主電動機を2基搭載。全長12m級の小型車体で、オープンデッキから乗降しました。集電装置は当初トロリーポールでしたが、後にパンタグラフに改造されました。1930年に伯陽電鉄（後の日ノ丸自動車法勝寺電鉄線）へ貸し出され、1931年に正式譲渡。同線が1967年に廃止されるまで使用されました。

デハ2（元デハ2）は廃止後、西伯小学校で静態保存。2011年に鳥取県保護文化財に指定され、2012年から2013年にかけてJR西日本後藤総合車両所で復元作業が行われました。2015年からは南部町公民館さいはく分館の「法勝寺電車ひろば」で保存・展示されています。

甲号電車

1925年に4両導入された木造ボギー電動客車です。車両番号はデハ3 - デハ6。当初は開業に合わせて導入予定でしたが、遅れての導入となりました。日本電機車輌で新造され、乙号同様に全長11m級の小型車体で、トロリーポール集電方式でした。ただし、デッキには扉が設置され、連結器も備えられていました。1934年に目黒蒲田電鉄に合併されるとモハ15形へ改番されましたが、1935年から1938年にかけて全車廃車。一部は野上電気鉄道や越中鉄道（後の富山地方鉄道射水線）へ譲渡されました。

丙号電車

1926年に2両導入された木造4輪単車です。車両番号はデハ11・デハ12。乙号に続いて静岡電気鉄道からの譲受車でしたが、全長8m級の小型車体で、老朽化が著しかったため、早期に休車となり、1933年に廃車されました。

デハ20形

1927年に10両導入された木造ボギー電動客車です。車両番号はデハ20 - デハ29。鉄道省から払い下げられた木造省電デハ6310形を改造したもので、全長16m級の中型車でした。目黒蒲田電鉄への合併後、モハ30形へ改番。その後、全車が鋼体化改造を受け、サハ1形、モハ150形となりました。

デハ100形・デハ200形

デハ100形は1928年に5両導入された半鋼製ボギー電動客車、デハ200形は1930年に3両導入された半鋼製ボギー電動客車です。白金・品川方面への延伸計画時に導入されました。デハ100形は汽車会社で製造された池上初の半鋼製車で、両運転台型17m級の3扉車でした。両形式は当初同形車として計画されましたが、前面形状の変更により別形式となりました。目黒蒲田電鉄への合併後、モハ120形、モハ130形へ改番。東京急行電鉄への合併時にデハ3250形へ統合されました。

デハ3250形は制御器の互換性が低く、運用面での制約がありました。そのため、戦後に地方私鉄への車両供出命令に伴い、早期に譲渡対象となり、静岡鉄道、庄内交通、京福電気鉄道福井支社（現・えちぜん鉄道）へ譲渡されました。各社で主力車として活躍しましたが、老朽化により全車廃車されました。

デト1形

1928年に蒲田車輛で製造された四輪単車の無蓋電動貨車です。デト1の1両のみが存在しましたが、入籍していなかったとも言われています。

参考文献

高井薫平『昭和30年代～50年代の地方私鉄を歩く　第17巻 　北陸の電車たち（３）　福井県の私鉄』株式会社ネコ・パブリッシング、2023年6月30日。ISBN 978-4-8021-3385-2。

関連項目

電車_(初代'>東急3000系電車 (初代))
* 東急3300系電車'>東急3300系電車

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