油日神社

油日神社

油日神社（あぶらひじんじゃ）は、滋賀県甲賀市甲賀町油日に鎮座する神社です。国史見在社であり、旧社格は県社です。祭神は油日大神（あぶらひのおおかみ）で、勝軍神として武士の崇敬を集め、社名から油の火の神としても信仰されました。油日岳を神体山とし、山頂には罔象女神（みつはのめのかみ）を祀る岳神社があります。神紋は木瓜に二ツ引です。

歴史

創祀年代は不詳ですが、用明天皇または天武天皇の時代に創建されたと伝えられています。油日岳の山頂に油の火のような光とともに油日神が降臨したことから「油日」の名がついたとされています。また、聖徳太子が社殿を建立し、油日大明神を祀ったという伝承も残っています。

国史における初見は、『日本三代実録』の元慶元年（878年）の記述で、「近江国の正六位上、油日神に従五位下を授ける」と記されています。『延喜式神名帳』に記載される「甲賀郡 川枯神社二座」とする説もありますが、確証はありません。

本殿には「正一位油日大明神」と記された明応2年（1493年）の棟札があり、建立年代が判明しています。中世には甲賀武士が聖徳太子を軍神として崇めるとともに、「甲賀の総社」として信仰していました。油日神社は甲賀地域随一の名社として知られています。

長らく神仏習合が行われており、神宮寺として油日寺（金剛寺）がありましたが、明治時代の神仏分離令によって、油日寺は神宮寺と改名し独立しました。しかし、現在も油日神社には仏教関係の文化財が数多く残されています。

1906年（明治39年）に県社に列格し、1911年（明治44年）には村内の10社を境内社として合祀しました。

祭神

主祭神：油日大神（あぶらひのおおかみ）
東相殿：罔象女神（みつはのめのかみ）
西相殿：猿田彦神（さるたひこのかみ）

境内

油日神社には、以下の社殿や施設があります。

本殿（重要文化財）：明応2年（1493年）再建。三間社流造、檜皮葺。
中門
拝殿（重要文化財）：安土桃山時代の再建。入母屋造妻入、檜皮葺。
東廻廊（重要文化財）：永禄9年（1566年）建立。檜皮葺。
西廻廊（重要文化財）：永禄9年（1566年）建立。檜皮葺。
楼門（重要文化財）：永禄9年（1566年）建立。入母屋造、檜皮葺。
八幡神社
神明神社
日吉神社
春日神社
金比羅神社
櫻神社
常松神社
祖霊社
旧経蔵
甲賀歴史民俗資料館
鐘楼：元和6年（1620年）に山岡景以らの寄進によって作られた梵鐘が釣られており、甲賀市指定有形文化財となっています。神仏習合の名残です。
社務所
参集殿

境外社

岳神社
白鬚神社

文化財

油日神社には、数多くの貴重な文化財が残されています。

重要文化財

本殿 附：棟札 15枚
拝殿
楼門及び廻廊 3棟 附：棟札 3枚

国指定史跡

油日神社境内（史跡甲賀郡中惣遺跡群のうち）

国選択無形民俗文化財

油日の太鼓踊り（油日神社奴振太鼓踊保存会）

滋賀県指定有形文化財

福太夫神面 1面 附：ずずい子 1躯

滋賀県選択無形民俗文化財

太鼓踊（油日神社太鼓踊保存会）
奴振（油日神社奴振保存会）

甲賀市指定有形文化財

油日神社懸仏群
種子三千仏
絹本著色聖徳太子絵伝
絹本著色十一尊曼荼羅図
絹本著色千手観音三尊曼荼羅図
絹本著色弁才天三尊曼荼羅図
絹本著色十二天像図
古面
梵鐘

甲賀市指定天然記念物

コウヤマキ

祭事

例祭（油日まつり）：5月1日
み生れまつり

太鼓踊りは国の選択無形民俗文化財に、奴振りは県選択無形民俗文化財に指定されています。

参考文献

宇野茂樹「川枯神社」（『式内社調査報告』第12巻東山道1、皇學館大學出版部、昭和56年（1981年）刊所収）

外部リンク

油日神社公式サイト
* 油日神社（滋賀県神社庁）

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