油須木町

油須木町（ゆすきちょう）

油須木町は、鹿児島県鹿児島市の北西部に位置する町です。旧薩摩国日置郡に属し、郡山郷油須木村、郡山村大字油須木を経て、現在の鹿児島市油須木町となりました。人口は約650人（2020年時点）の小さな町ですが、豊かな自然と歴史を色濃く残しています。

地理

油須木町は、甲突川の支流である油須木川流域に位置し、八重山に連なる丘陵に囲まれた小盆地が広がっています。この地形により、町内には水田が多く見られ、農業が主要な産業となっています。町域は、北に花尾町、南に小山田町、東に東俣町、西に郡山町と隣接しており、国道328号が町の中央を南北に、鹿児島県道40号伊集院蒲生溝辺線が東西に通っています。これらの道路は、町内外への交通を支える重要な役割を果たしています。

歴史

油須木の成立と中世

油須木という地名は、鎌倉時代から確認されています。当時は薩摩国満家院の一部であり、税所氏の支配下にありました。南北朝時代には、守護島津氏の力が強まり、建武4年（1337年）には比志島彦一に「満家院内 油須木四町」が与えられました。満家院はその後、島津氏の支配下に入り、比志島氏が移封されるまでは比志島氏の支配が続きました。その後、島津氏の直轄領となりました。文明17年（1485年）には、町域北部の地である上ノ原にて、島津忠廉が寡兵で村田肥前守経安の軍を破った古戦場としても知られています。

近代の油須木

江戸時代には、薩摩国日置郡郡山郷の一部であり、村高は「旧高旧領取調帳」では431石余、「三州御治世要覧」では459石余、「郡山郷土史」では明治初年に433石余と記録されています。油須木村は、平民よりも士族の人口が多かったことが特徴です。寛文4年の「郡村高辻帳」には油須木村の名前が見当たらず、一時的に東俣村に属していたと考えられています。その後、江戸時代前期から中期頃に東俣村から分村したと推測されます。明治5年には、大区小区制により郡山郷が第21大区となり、油須木村は第4小区となりました。

町村制施行以降

1889年（明治22年）の町村制施行に伴い、油須木村は周辺の厚地村、東俣村、川田村、郡山村、西俣村と合併し、郡山村が発足しました。この際、油須木村は郡山村の大字「油須木」となりました。1956年（昭和31年）に郡山村は町制を施行し、郡山町となりました。さらに、2004年（平成16年）11月1日に郡山町は吉田町、松元町、喜入町、桜島町と共に鹿児島市に編入され、油須木町は新たに鹿児島市の一つの町となりました。この合併に際し、旧郡山町の大字は廃止され、その区域をもって新たな町が設置されました。

人口

1995年以降の国勢調査によると、油須木町の人口は以下の通り推移しています。

施設

寺社

近都宮神社
創建年代は不明ですが、島津忠秀を祀っています。

小・中学校の学区

油須木町の住民が通う市立小・中学校の学区は以下の通りです。（詳細は不明）

交通

道路

一般国道：国道328号
主要地方道：鹿児島県道40号伊集院蒲生溝辺線

バス

JR九州バス
北薩線（鹿児島駅～川田・花尾～薩摩郡山）：油須木 - 賦合
（鹿児島駅～宮之城・薩摩中央高校）：油須木 - 賦合
鹿児島市コミュニティバス（あいばす）
郡山地域 東俣・中心部コース
（月・水・金運行）：賦合 - 安美世
（火・木・土運行）：賦合住宅 - 安美世、ストリームタウン前 - 協和食品前 - 油須木 - 油須木中 - 油須木団地 - 油須木上

参考資料

郡山郷土史編纂委員会『郡山郷土史』鹿児島市、2006年3月1日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県』角川書店、1983年3月1日。
* 芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。

油須木町は、その歴史と自然が調和した魅力的な町です。歴史的な出来事の舞台となった場所や、地域の人々の生活を支える交通網など、様々な側面からこの町を知ることができます。

もう一度検索