浅草岳

浅草岳：越後山脈の雄大な成層火山

浅草岳は、新潟県魚沼市と福島県南会津郡只見町に跨る標高1,585.5mの第四紀火山です。越後山脈に位置し、越後三山只見国定公園に属するこの山は、要害山、蒲生岳、会津朝日岳とともに「只見四名山」として知られています。一等三角点「浅草岳」も設置されています。

古代の火山活動と独特の地形

およそ170万年前から150万年前の噴火活動によって形成された浅草岳は、玄武岩と安[[山岩]]からなる成層火山です。しかし、その歴史の長さから侵食が進み、現在では火口は確認できません。特に福島県側の南東面は、隣接する鬼ヶ面山とともに、雪崩による浸食が顕著で、典型的な雪食地形を呈しています。そのため、北側や北西側の円錐形の山容とは対照的な、非対称な山容が特徴となっています。鬼ヶ面山には巨大な岩壁があり、その険しさは古くから人々を魅了してきました。江戸時代の文献『新編会津風土記』には、浅草岳の険しい山容が「四時雪ヲ戴キ半山ハ草木地ニ蟠レリ、『ノコキリハ』ト云処アリ、峯尖鋸歯ノ如ク其勢恐ルヘシ、遠方ヨリ望メハ極テ奇観ナリ」と表現されています。これは、山頂付近がノコギリの歯のようにギザギザしており、遠目に見ても非常に珍しい光景であることを示しています。

豊かな自然と多様な生態系

浅草岳の北東斜面には沼ノ平（沼の平）と呼ばれる地域があり、多くの湖沼と成熟したブナ林が広がっています。ブナ林の林床にはユキツバキが多く自生し、豊かな自然環境を象徴しています。新潟県側の山麓には、浅草山麓エコ・ミュージアムや奥只見レクリェーション都市公園浅草岳公園といった施設が整備され、自然との触れ合いを促進する取り組みがなされています。

多様な登山ルート

浅草岳には、福島県側に2カ所、新潟県側に3カ所の登山口があり、様々な登山ルートが整備されています。

福島県側
只見沢登山口: 国道252号田子倉休憩所近くから、只見尾根を経て山頂を目指します。約4.7km、約3時間30分の行程です。かつてJR只見線の田子倉駅があった場所も近くにあります。ルート上には幽ノ倉沢の仮橋があり、毎年山開き前に設置されます。
入叶津登山口: 国道289号から山頂まで約4時間50分の行程です。途中、平石山コースと沼ノ平コースに分岐しますが、平成23年7月新潟・福島豪雨による災害の影響で沼ノ平コースは通行に制限があります。現地ガイドの同行が必要となる場合があります。

新潟県側
ネズモチ平登山口: 駐車場から前岳を経て山頂まで約3時間10分の行程です。
桜曽根コース: ネズモチ平登山口から桜曽根広場、前岳を経て山頂まで約3時間10分の行程です。
* 六十里越登山口: 国道252号六十里越トンネル出口から、南岳、鬼ヶ面山、前岳を縦走する約5時間の行程です。

山頂からの絶景パノラマ

山頂からは、北東に御神楽岳、北に矢筈岳、北西に守門岳、南に鬼ヶ面山、毛猛山、南東に会津朝日岳、丸山岳、会津駒ヶ岳といった周辺の山々を一望できます。また、南東眼下には田子倉湖の美しい景色が広がり、訪れる者を圧倒する絶景を堪能できます。

浅草岳は、歴史、地形、生態系、そして登山ルートと、様々な魅力を兼ね備えた山です。その雄大な自然に触れ、忘れられない思い出を作りましょう。

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