浜石岳

浜石岳（はまいしだけ）

静岡県静岡市清水区の北東部に位置する標高707mの山、浜石岳。旧由比町では西山とも呼ばれています。南北に連なる稜線は、薩埵山や薩埵峠を経て駿河湾へと続いており、その歴史的、地理的な重要性から、古くから人々に親しまれてきました。

歴史

浜石岳周辺は、歴史の重要な舞台にもなりました。南北朝時代には、足利尊氏と直義兄弟による薩埵峠の戦いがこの地で繰り広げられました。また戦国時代には、武田信玄と今川氏真・北条氏政の連合軍が激突した薩埵峠の戦いが二度に渡り勃発。これらの戦乱の歴史が、この地の地形に深く刻まれています。

地理と自然

山麓の緩斜面は、ミカンなどの果樹園として利用され、中腹から上部はスギやヒノキの植林地となっています。山頂付近は低木林で、アセビの群落や草地が見られます。山頂からの眺望は360度開けており、富士山、愛鷹山塊、伊豆半島、駿河湾、南アルプスなど、見渡す限りの絶景が広がります。

山頂部には、無断中継塔が設置されている一方で、東約400mの場所には、静岡市が運営する体験宿泊施設「浜石野外センター」があります。また、山麓の由比海岸からは、なだらかな山並みを望むことができます。この美しい景観は、静岡市シティプロモーションによって「オクシズ100選」の一つに選定されています。

地質

浜石岳の名前は、山頂に円礫（浜石）があることに由来すると考えられています。山域は新第三紀鮮新世の浜石岳層群から成り、上部は砂岩や礫岩、下部は火山砕屑岩や泥岩で構成されています。この地域は河川浸食や波浪浸食が激しく、大規模な地すべりが繰り返されている場所でもあります。また、坂本東方から薩埵峠にかけて、浜石岳断層が確認されています。

登山

浜石岳は、富士山を望むことができる山として知られ、登山やハイキングの対象として多くの人に親しまれています。静岡百山の一つにも選定されており、花の百名山としても知られています。特にヤマユリなど、季節の花々が見どころです。

南の薩埵峠方面からは、稜線沿いに山頂へ至る登山道が整備されており、東海自然歩道のバイパスコースとしても利用されています。山頂には二等三角点と展望図の石盤が設置されています。薩埵峠からのコースは、静岡県版「山のグレーディング」検討会により、技術的難易度が低く、体力度も低程度と評価されており、初心者でも比較的登りやすい山と言えるでしょう。

主な登山コース

薩埵峠からのコース: 由比駅または興津駅からスタートし、曙大橋を渡って浜石野外センター方面へ進むルート。山頂までの距離は約4.8km、所要時間は約2時間30分です。山頂から薩埵峠を経て興津駅へ戻ることも可能です。
西山寺からのコース: 由比駅から西山寺、浜石芝広場（駐車場）を経由して山頂へ向かうルート。
野外センターからのコース: 浜石野外センターから直接山頂へ向かうルート。

地理的な特徴

浜石岳は、広義には赤石山脈（南アルプス）中央連嶺の大井川左岸山系に属する山です。富士山の南南西32kmに位置し、山域の南端にある薩埵山との鞍部、薩埵峠の北5.4kmに位置しています。山頂の南2.3kmの稜線上には、小ピークの立花山があります。

周辺の山

北西には、陣場山（標高654m）があり、その北側にはのろし台跡が残っています。

河川の源流

浜石岳は、西に流れる興津川と東に流れる由比川の分水界となる山です。それぞれの支流と和瀬川の源流となっており、太平洋（駿河湾）へと流れています。山頂の南2.6kmの稜線直下西側には、立花池があります。

交通・アクセス

山域の西側には国道52号が通り、南部には東海道新幹線の由比トンネルが貫通しています。南東山麓には、静岡県道396号富士由比線、東海道本線、国道1号、東名高速道路が通っています。また、山域の東側には静岡県道76号富士富士宮由比線が通っています。山頂直下まで林道が敷設されており、ハイキングコースとしても利用されています。

JR東海道本線由比駅から北北西3km、新東名高速道路新清水インターチェンジから南南東3kmに位置しています。

展望

山頂からは、富士山、愛鷹山塊、伊豆半島、田子ノ浦、駿河湾、三保の松原、赤石山脈、天子山地など、360度の大パノラマが広がります。その眺望の美しさは、訪れる人々を魅了し続けています。

脚注

参考文献に示された書籍には、浜石岳の詳細な情報や登山ルートが記載されています。

関連項目

薩埵峠
東海自然歩道
花の百名山

外部リンク

浜石岳ハイキングコースマップ - 静岡市
浜石岳 - 静岡新聞

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