海蔵寺

海蔵寺の概要

海蔵寺（かいぞうじ）は、神奈川県鎌倉市の扇ガ谷にある、臨済宗建長寺派に属する寺院です。その山号は扇谷山（せんこくざん）で、本尊には薬師如来が安置されています。

歴史

この寺院は建長5年（1253年）に、宗尊親王の指示によって藤原仲能によって創建されました。しかし、鎌倉幕府が滅亡する際に一度焼失してしまいます。その後、応永元年（1394年）に再建され、上杉氏定が開基となり、心昭空外が開山としてその礎を築くことになったと伝えられています。

境内の構成

海蔵寺の境内には、数多くの重要な構造物があります。まず目を引くのは、四脚門です。修理時に見つかった応仁2年（1468年）の墨書から、この門がその時期に工事されたことがわかりますが、現存するほとんどは江戸時代の素材で作られています。

本堂

本堂には十一面観音が安置されており、裏手には現住職によって造営された石庭がありますが、こちらは非公開となっています。

薬師堂

薬師堂は寄棟造りで、桟瓦葺きの屋根を持ち、土間が内部に広がっています。正面には薬師三尊像と十二神将像が安置され、堂内の左側には伽藍神像、右側には位牌が置かれています。この薬師堂は、安永6年（1777年）または同7年に鎌倉の浄智寺から移築されたとされており、移築時には大幅な改修も行われました。また、本尊の薬師如来坐像の胎内には、空外和尚が赤児の泣き声を頼りに土中から掘り出したと伝えられる仏面が納められており、このため「啼薬師（なきやくし）」や「児護薬師（こもりやくし）」と呼ばれることもあります。

庫裏

庫裏は2階建てで、出桁造りの設計となっており、江戸時代に建てられました。

底脱の井（そこぬけのい）

寺の入口に位置する底脱の井は鎌倉十井の一つとして知られています。この名称の由来は、安達泰盛の娘、千代能が詠んだ歌にあるとされ、桶の底が抜ける様子を描写しています。また別の説では、上杉家の尼が詠んだ歌がその名の由来だといわれています。

十六の井

十六の井（または十六井戸）は、薬師堂の裏手に位置する岩窟内にあります。この岩窟の床には、縦横に4列ずつ計16の丸穴が空いており、水が湧き出ています。この場所は井戸ではなく納骨穴とも言われており、正確な用途は不詳です。岩窟の奥には観音菩薩像と弘法大師像が祀られています。

花暦

海蔵寺は四季折々の花々が美しく咲き誇る場所としても知られており、早春には梅、夏にはノウゼンカズラやキキョウ、初秋にはハギ、冬にはスイセンやフクジュソウなどが境内を彩ります。

所在地

海蔵寺は神奈川県鎌倉市扇ガ谷4-18−8に位置しており、「十六の井」の拝観には100円の入場料が設けられています。魅力あふれる海蔵寺は、訪れる人々に深い歴史と美しい自然を提供してくれる場所です。

もう一度検索