清水谷家

清水谷家：由緒ある公家から華族へ

清水谷家は、名門藤原北家閑院流西園寺家の流れを汲む、由緒正しき公家・華族の家系です。羽林家という高い家格を有し、明治時代の華族制度下では伯爵家に列せられました。その歴史は鎌倉時代まで遡り、西園寺公経の次男を祖としています。当初は「一条家」を名乗っていましたが、摂関家と家名が重複したため、のちに現在の「清水谷家」に改称しました。江戸時代初期には一時途絶えたものの、その後再興を果たしています。

江戸時代の清水谷家

江戸時代における清水谷家の家禄は200石でした。家業としては、書道、笙、能楽、神楽といった雅な芸道が盛んに行われていました。特に、歌道で知られる三条西家から養子として迎えられた清水谷実業は、霊元院歌壇を代表する歌人として名高い存在でした。これは、清水谷家が単なる武家ではなく、教養と文化を重んじる家風であったことを示しています。

明治維新と華族制度

幕末から明治維新へと時代が大きく転換する中、清水谷家の当主は重要な役割を果たしました。明治維新後、箱館裁判所総督、さらに箱館府知事を歴任しました。しかし、箱館府は旧幕府勢力の襲撃を受け、一時的に青森へ避難を余儀なくされました。その後、政府軍を指揮して箱館奪還に貢献し、戦後の処理にも携わったのです。

明治2年（1869年）の行政官達によって、公家と大名家が統合され、華族制度が誕生しました。清水谷家も公家として華族に列せられ、新たな時代を迎えます。明治17年（1884年）の華族令施行により華族が五爵制になると、旧堂上家としての格式と、大納言宣任の例が多かった実績から、清水谷実英が伯爵位を授けられました。実英は陸軍中佐にまで昇進した軍人で、日清戦争、日露戦争で戦功を挙げ、功四級金鵄勲章を受賞するなど、軍功も著しい人物でした。その後、宮内省に入り、侍従や宮中顧問官といった要職を務めました。これは、清水谷家が武力だけでなく、文武両道に優れた家系であったことを示す証左と言えるでしょう。

系譜と今後の研究

清水谷家の系譜は、綿々と続いてきました。実子や養子縁組を通して、家系は維持され、発展を遂げました。（系図は省略） 今後の研究においては、残された文書や記録を詳細に分析することで、清水谷家の歴史をより深く解明することが期待されます。特に、江戸時代における家業の詳細や、明治時代の華族としての活動、そしてその社会貢献といった点について、更なる知見を得ることが重要です。

参考文献

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』リブロポート、1994年
太田亮「国立国会図書館デジタルコレクション 清水谷 シミヅタニ」『姓氏家系大辞典』 第5、1934年
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』中央公論新社、2006年
華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター、1990年

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