渡辺允

渡辺允（わたなべ まこと）

渡辺允は、1936年5月9日に東京府（現在の東京都）で生まれ、2022年2月8日に85歳で亡くなった日本の外交官です。最終的な位階は正三位。皇室を支える宮内庁で、侍従長や参与を歴任しました。

生い立ちと学歴

渡辺允は、学習院初等科、都立日比谷高校を経て、1959年に東京大学法学部を卒業しました。

外交官としてのキャリア

大学卒業後、外務省に入省し、同期には松浦晃一郎などがいます。外務省では、英語研修のためアメリカに留学したほか、北米局北米第一課事務官、条約局法規課長、国際連合局政治課長などを務めました。海外では、在フィリピン日本国大使館参事官、在アメリカ合衆国日本国大使館参事官、公使、駐ヨルダン大使を歴任しました。

1989年には中近東アフリカ局長に就任、その後、1993年から1995年まで儀典長を務めました。

宮内庁での活動

1996年から2007年まで侍従長を務め、天皇皇后両陛下に長年仕えました。侍従長退任後は、宮内庁侍従職御用掛を経て、2012年から2020年まで宮内庁参与を務めました。

2007年には、書籍『プリンセス・マサコ』の内容に対し、宮内庁として公式に抗議する対応を取りました。この対応は、東宮大夫の対応よりも迅速であったと指摘されています。

受章と晩年

2008年には、長年の功績が認められ瑞宝大綬章を受章しました。宮内庁参与退任後は、皇室関連のインタビューや講演を積極的に行い、その見識を広く伝えました。

2022年2月8日、誤嚥性肺炎のため東京都新宿区の高齢者医療施設で死去。死没日付で正三位に叙されました。

親族

渡辺允の家系は、華族の家柄であり、曾祖父に渡辺千秋伯爵、元勲の大山巌公爵がいます。渡辺千秋は明治天皇崩御時の宮内大臣を務めました。また、初代財務官の渡辺武、物理学者の渡辺慧は親類にあたり、ノーベル賞化学者の野依良治は父方のはとこにあたります。

外務省同期

外務省の同期には、松浦晃一郎の他、瀬下博基（中南米局長、駐伊大使）、田島高志（駐加大使）、苅田吉夫（式部官長）、大鷹市郎（駐フィンランド大使）、野々山忠致（駐ヨルダン大使）などがいます。

著作

渡辺允は、以下の著作を出版しています。

『平成の皇室 両陛下にお仕えして』（明成社、2008年）
『天皇家の執事 侍従長の十年半』（文藝春秋、2009年、文春文庫、2011年）

外部リンク

* 2019年4月3日'>ご退位とは何か - 2019年4月3日

もう一度検索