渤海 (国)

渤海

概要

渤海（ぼっかい、朝鮮語: 발해、満洲語: ᡦᡠᡥᠠ‍ᡳ、英語: Bohai）は、698年から926年にかけて存在した国家で、現在の中国東北部、朝鮮半島北部、さらにはロシアの一部に広がる地域を支配していました。靺鞨族の大祚栄によって建国され、唐と積極的に交易を行ったことで「海東の盛国」と称されました。しかし、926年には契丹によって滅ぼされました。

名称の由来

「渤海」という名称は、もともとは現在の遼東半島と山東半島の間にある海域を指すものでした。初代国王である大祚栄が、渤海の沿岸地域にあたる場所で渤海郡王に封ぜられたことから、国の名称として使われるようになりました。実際には、彼が治める領域は元の意味から外れた広範な地域を含んでいました。

歴史的背景

渤海の歴史は、高句麗の滅亡に起源を持っています。唐の則天武后の時代、唐の都督府の支配下にあった契丹が暴動を起こし、その混乱に乗じて粟末靺鞨人が指導者乞乞仲象の下で逃げ出しました。彼らは高句麗の遺孫たちと共に、新たな国家を築くことを決意し、将来的に渤海を形成する基礎となりました。

最初の数十年は、唐と摩擦を抱えつつ、急速に勢力を拡大しました。711年には唐に朝貢して国王としての地位を確立し、714年には「渤海郡王」に冊封されます。これにより、渤海は唐の冊封体制に入りました。

渤海の発展と外交

渤海は、対外的にも積極的に交流を行い、特に731年に日本にも使節を派遣しました。この外交は主に、唐との関係を維持しつつ、新羅と契丹に対抗するためのものでした。また、渤海国からの使者が神亀4年（727年）に日本に到着し、初の公式な交流が行われました。以降、渤海使は日本との間で文化的、商業的な関係を築くことになり、贈物や交換品のやり取りが行われました。

政治制度

渤海の政治体制は、唐の三省六部を模倣しており、自国の特性を折り込んだものになっていました。特に、政堂、省、六部といった中央政府の構造を備え、唐の制度を基にした法律や行政機関が整備されました。また、地方行政区分を設け、京・府・州・県といった組織を作り上げて、広い領域での統治を行いました。

経済活動

農業が重要な役割を果たし、当時の渤海では五穀の栽培が盛んに行われていました。さらに、漁業や狩猟も発展しており、貴重な資源が国内外の交易に活用されました。特に契丹との交易でも毛皮や人参が重要な品目であり、海陸ともに盛んでした。

滅亡とその後

926年、契丹が渤海軍を撃破し、渤海は滅亡しました。契丹は渤海の領土に東丹国を設立し、支配を行いました。しかし、渤海にはその後も再興の動きがあり、数世代にわたって渤海人が高麗に亡命する事例が数多く見られました。特に928年から929年ごろには、渤海からの移民が高麗に流入するなどの動きが見られました。

このように、歴史的に見ると、渤海は周囲の国々と独自の文化と経済を持ちながら、繁栄した時期を持っていた一方で、最終的には外敵に滅ぼされる運命にありました。渤海の権威や文化は後世の国々に多大な影響を与え、その足跡は今でも語り継がれています。

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