温泉寺 (諏訪市)

温泉寺の概要

温泉寺（おんせんじ）は、長野県の諏訪市湯の脇に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号は臨江山であり、寺の本尊は薬師如来となっています。この寺院は中部四十九薬師霊場の7番札所としても知られ、多くの参拝者が訪れます。

歴史

温泉寺の創建は、寛永17年（1640年）にさかのぼります。当時の高島藩2代藩主である諏訪忠恒は、上諏訪温泉の源泉を守るために、下諏訪の慈雲寺の14代住職である泰嶺玄未を開山としてこの寺院を建立しました。その後、温泉寺は高島藩・諏訪家の菩提寺としての役割を果たすことになります。忠恒から8代藩主忠恕までの諏訪家の廟所もここに存在し、藩主たちの歴史が刻まれています。

明治3年（1870年）には、温泉寺で発生した火災により本堂やその周辺の伽藍が焼失しました。その後、高島城から薬医門、山門、能舞台などが移築され、現在の形となっています。また、高遠石工の守屋貞治による願王地蔵などの石仏もこの寺の重要な文化財として知られています。

さらに、永享2年（1430年）に作られた古鐘は、元々伊那市の安養寺にあったものです。この鐘は、織田信長が武田勝頼を攻めた際の陣鐘として使われ、寺の創建時に梵鐘として使用されるようになりました。

景観と文化財

温泉寺は高台に位置しており、周囲の景色が一望できるため、諏訪湖や温泉街が美しく見渡せます。特に、寺の多宝塔は市指定の文化財で、江戸時代中期から存在し、明和4年（1767年）に再建されています。また、墓地には五輪塔があり、和泉式部の墓とされていることが伝えられています。彼女は下諏訪宿の出身地と考えられており、地域の歴史と深く関わっています。

高島藩主諏訪家の墓所は、温泉寺墓所と茅野市の頼岳寺墓所が一括で指定された国の史跡となっています。このように、温泉寺は歴史的な価値が高い場所として、多くの文化財を抱えています。温泉寺に隣接する諏訪市有形文化財の温泉寺鉄塔（石之御座多宝塔）も、その重要な一部とされています。

交通アクセス

温泉寺へは、JR中央本線の上諏訪駅から徒歩で約15分の距離にあります。周辺の温泉街とも近く、観光と合わせて訪れる方にとってもアクセスしやすい場所に位置しています。

参照文献

• - 『信州の文化シリーズ 寺と神社』1981年 信濃毎日新聞社
• - 『探訪 信州の古寺 禅宗』1996年 郷土出版社
• - 『街道を歩く甲州街道』大高利一郎著2009年揺籃社 ISBN 978-4897082745

温泉寺は、訪れる人々にその独自の歴史や文化を伝える貴重な場所であり、地域に根付く信仰の象徴でもあります。

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