湯平温泉

湯平温泉とは

湯平温泉は、大分県由布市湯布院町に位置する温泉地で、由布院温泉郷を構成する5つの温泉の一つです。国民保養[[温泉地]]にも指定されています。鎌倉時代には既に湯治場として開かれていたとされ、室町時代の文献にもその存在が確認されています。

泉質

泉質は、ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉で、弱食塩泉としても知られています。

温泉街の景観

花合野川の渓谷沿いに広がる温泉街は、江戸時代に整備された石畳が特徴的です。石畳の両側には、飲食店やお土産屋、共同浴場、旅館などが軒を連ね、風情ある街並みを形成しています。2022年8月現在、小規模な家族経営の旅館が19軒、共同浴場が4軒、土産物店や飲食店が10軒あります。

かつては飲泉文化も盛んでしたが、湯量の減少や衛生上の問題から現在では行われていません。しかし、飲泉文化の復活も検討されています。

共同浴場

湯平温泉には、以下の4つの共同浴場があります。

金の湯（金湯）: 湯平温泉の中で最も歴史が古いとされています。
中の湯: 坂道の途中に位置することから、この名前が付けられました。
銀の湯（銀湯）: かつては川の中から湧き出ており、湯に銀粉のような白い結晶が混じっていたことから、この名で呼ばれるようになりました。
橋本温泉: 1922年に湯平温泉で5つ目の共同浴場として開かれました。

かつて存在した共同浴場「砂湯」は、川底の砂地から湧き出ていたため「砂湯」と呼ばれていましたが、2020年の豪雨で流失しました。砂蒸し風呂ではありません。

歴史

開湯

一説によると、鎌倉時代に木こりが猿が湯に入っているのを発見したことが、湯平温泉の開湯のきっかけとされています。しかし、明治時代の大火によって、湯平温泉の歴史を記した古文書の多くが失われてしまい、詳細な歴史を辿るには外部の文献に頼るしかありません。

江戸時代

温泉街の基礎が築かれたのは江戸時代です。享保年間には土石流が発生し、その影響で疫病が流行しましたが、惣庄屋であった工藤三助が住民を率いて花合野川の石で石畳を築き、温泉街の復興に尽力しました。この石畳は、現在も温泉街のシンボルとなっています。

明治時代以降

江戸時代には藩湯であった湯平温泉は、1871年の廃藩置県後に地域に下賜され、十数軒で共同所有されるようになりました。1912年の大火で旅館や民家のほぼ全戸が焼失しましたが、火災直後から共同浴場や旅館、商店、発電所などが再建されました。

昭和初期には、湯平温泉は療養型温泉として、別府温泉に次ぐ九州第2位の入湯客数を誇り、「西の横綱」と称されたこともあります。

また、野口雨情や種田山頭火などの文化人も訪れています。

明治から大正時代にかけて存在した5つの共同浴場は、2006年から2008年にかけてすべてリニューアルされました。

近年の出来事

2020年7月7日、豪雨によって砂湯が流失し、温泉街が大きな被害を受けました。また、旅館「つるや隠宅」の経営者一家4人が避難中に遭難し、3人が亡くなるという悲劇も発生しました。

2022年9月18日には、台風14号による豪雨で花合野川が増水し、道路などが浸食される被害も発生しました。

旅館「つるや隠宅」は、2022年にゆのひら温泉観光協会が買い取り、観光拠点「石畳の駅つるや」として改修され、2024年3月1日にオープンしました。

アクセス

鉄道: JR久大本線湯平駅からタクシーで約10分、または徒歩約1時間。JR久大本線由布院駅からタクシーで約30分。
湯平駅・由布院駅からの路線バスは2007年1月に廃止され、現在は由布市コミュニティバスが運行しています。
車: 大分自動車道湯布院インターチェンジから国道210号、大分県道537号湯平温泉線経由で約30分。

ロケ地

映画『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』（1982年公開）のロケ地として利用されました。

関連項目

温泉
温泉街
外湯
温泉番付
日本の[[温泉地一覧]]

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