湯舟山

湯舟山（ゆぶねやま）

湯舟山は、新潟県南魚沼市の台上にそびえる標高790.1メートルの里山です。地域ではニタ沢ノ頭（ニタザワノカシラ）という別名でも知られています。

この山とその周辺地域は、過去に自然災害の影響を大きく受けた歴史があります。特に、2011年（平成23年）7月に発生した新潟・福島豪雨では、山の名前にも含まれる湯舟沢や、ニタ沢、湯の平といった複数の沢筋で大規模な土石流が発生し、山麓の集落などに甚大な被害をもたらしました。この災害の影響により、現在も湯舟山への登山コースは入山が禁止されています。

湯舟山の山麓にあたる湯舟原地区では、古くから地域の農業が営まれてきました。1977年（昭和52年）からは、県営の農地総合開発事業が実施され、約20.5ヘクタールにわたる広大な土地が整備されました。この事業によって造られたのは「水平畑」と呼ばれる特殊な耕地です。水平畑は、土地を平らに造成し、排水設備などを工夫することで、水田として稲作を行うことも、畑として様々な作物を栽培することも可能にした多目的な農地であり、地域の農業生産性を高める役割を担っています。

農地開発が進む中で、地域の新たな特産品開発も行われました。1982年（昭和57年）には湯舟原ブドウ生産組合が発足し、ワインの原料となるブドウの栽培が始まりました。生産されたブドウは、地元のアグリコア越後ワイナリーへと出荷され、南魚沼産ワインの原料となっています。このように、湯舟山の麓では、農業の近代化と特産品開発が進められてきました。

また、地域の景観整備にも力が入れられています。2004年（平成16年）には、新潟県の「にいがた緑の百年物語緑化事業」の一環として、金城山（きんじょうさん）の山麓にあたる湯舟山周辺地域に「金城山麓いちょう並木」が整備されました。秋には美しい黄葉が広がり、地域の新たな名所となっています。地域を潤す農業用水の供給も重要であり、南魚沼土地改良区が管理する登川右岸幹線用水路も、この地域を通過しています。

現在、前述の通り登山道は閉鎖されていますが、地域の歴史や農業、そして自然災害からの復興という側面から、湯舟山は南魚沼市において重要な意味を持つ里山と言えます。

アクセス

自動車：関越自動車道塩沢石打インターチェンジから新潟県道28号塩沢大和線を経由し、国道291号線を利用して約20分。
公共交通：上越新幹線越後湯沢駅からJR上越線または北越急行ほくほく線で六日町駅まで約21分。六日町駅からはタクシーで約20分、または南越後観光バスの沢口行に乗車し約30分。

関連項目

古峰山、高棚川、姥沢川

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