滝山寺

滝山寺の概要と歴史

滝山寺（たきさんじ）は、愛知県岡崎市滝町に位置する天台宗に属する寺院です。この寺院は、山号を吉祥陀羅尼山、院号を薬樹王院とし、地域での歴史ある宗教施設の一つとして知られています。特に、「滝山寺鬼まつり」として有名で、多くの観光客や信者が訪れます。なお、滝山東照宮や日吉山王社が近隣に位置しており、寺院の重要な背景を形成しています。

歴史の深み

滝山寺の創建は奈良時代に遡り、天武天皇の命を受けた役行者（役小角）が金色の薬師如来像を青木川で発見し、これを祀るために吉祥寺として設立されたと言われています。しかし、その後寺は荒廃し放棄されることとなりました。役行者は奈良時代の有名な山岳修行者であり、彼が草創した寺院は日本中に存在しますが、滝山寺もまた山岳信仰や水源信仰にかかわる重要な寺であったと考えられています。

『滝山寺縁起』によれば、保安年間（1120年 - 1123年）に天台宗の僧、仏泉上人永救が地元の豪族物部氏の支援を受けて本堂を再建し、寺の再興を果たしました。永救は加賀国出身で比叡山で修行を積んだ人物であり、12世紀のこの再興時に、滝山寺は寺院としての形が整えられていきました。この時期、熱田大宮司藤原南家の後ろ盾によって、寺の規模や信仰篤さがさらに発展することとなります。

その後、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、寛伝という住職が活動し、彼は将軍源頼朝の親戚であったことから大いに庇護を受けました。寛伝は、頼朝の三回忌に際して、運慶と湛慶の父子に仏像を製作させました。これらの仏像は現在も滝山寺に所在し、彼の信仰を今に伝えています。

南北朝時代には足利尊氏の庇護を受け、本堂も重要文化財に指定されるほど繁栄しましたが、室町幕府の方針により次第に勢力を失い、戦国時代には寺領が侵されることとなります。近世初期には、徳川家康の支援を受け再び復興を果たしました。寛永寺の創始者天海の弟子が滝山寺の住職を兼任し、ここから再び勢力を増した時期が続きました。

文化財の豊かさ

滝山寺には多くの重要文化財が指定されています。特に、本堂は五間の桁行を持ち、檜皮葺の屋根が特徴で、内陣には秘仏の薬師如来坐像をはじめ、多数の仏像が安置されています。三門は鎌倉時代に遡るが、様式的には室町時代の特徴を持っているとされます。

また、木造観音菩薩立像や梵天・帝釈天立像といった重要な彫刻が収蔵されており、これは運慶一派の作品とみなされています。これらの像は、寺の信仰に深く結びつき、観光客にも大きな人気を誇ります。

近年では、1969年に本堂の屋根替え作業が行われ、特に運慶の作品に関する記事が各メディアに取り上げられ、より広く知られるようになりました。また、2018年には朝鮮通信使の書に関わる扁額が発見されるなど、寺の文化的遺産は時代を超えて注目されています。

交通アクセス

滝山寺へは名鉄名古屋本線の東岡崎駅から名鉄バスに乗り、「滝山寺下」停留所で下車することができます。

滝山寺は、その歴史と文化、そして美しい建築が多くの人々に愛され続けている寺院です。観光や学びに訪れる際には、ぜひその荘厳な雰囲気を体感し、伝統文化を感じてみてください。

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