炭素惑星

炭素惑星とは

炭素惑星は、アメリカの天体物理学者マーク・クックナーが提唱した、炭素やその化合物を主成分とする惑星の類型です。英語では、ダイヤモンド惑星や炭化物惑星とも呼ばれますが、これは惑星全体がダイヤモンドでできているわけではありません。2023年現在、実際に観測された例はなく、理論上の存在とされています。

形成

炭素惑星は、炭素が豊富で酸素が不足している原始[[惑星]]系円盤で形成されると考えられています。太陽系では炭素と酸素の比率が0.5程度ですが、この比率が1を超えると、岩石惑星の代わりに炭素惑星が形成される可能性があります。

惑星の中心には、岩石惑星と同様に金属質の核があると推測されています。その周囲は、炭化ケイ素と炭化チタンのマントルで覆われ、地殻はグラファイトで構成されていると考えられています。また、十分な高圧環境下では、数キロメートルもの厚さのダイヤモンド層が存在する可能性もあります。地表には、炭化水素や一酸化炭素が存在すると考えられています。

観測

2023年現在、炭素惑星として確認された系外惑星は存在しません。炭素惑星の平均密度は岩石惑星と近いため、同じ質量であれば直径に大きな差はないと予測されています。そのため、現在の技術では両者を見分けることは困難です。

2011年には、太陽に似た複数の恒星について炭素と酸素の比率が調査されました。その結果、対象となった941個の恒星のうち、大部分は炭素と酸素の比率が1より小さく、岩石惑星が形成されやすい環境であることがわかりました。しかし、46個は1を上回っており、これらの恒星は炭素惑星を持つ可能性が示唆されています。

恒星の元素組成は、連星系における質量移動によって変化することがあります。特に、炭素に富んだ漸近巨星分枝星からの質量移動は、恒星の炭素と酸素の比率を増加させる典型的な例です。この場合、恒星誕生直後の惑星形成時には炭素と酸素の比率が低かったため、炭素惑星は形成されないと考えられます。実際、炭素に富む主系列星の視線速度調査では、多くが連星系であることが示唆されており、これらの恒星の周囲には炭素惑星は存在しない可能性があります。

パルサーPSR B1257+12は、炭素に富んだ恒星が超新星爆発を起こした残骸と考えられています。このパルサーの周囲には、地球[[質量]]程度の惑星が複数発見されており、これらが炭素惑星である可能性も指摘されています。また、銀河系の中心は炭素の存在比が大きいため、炭素惑星が形成されやすい環境にあると考えられています。

かに座55番星eは、炭素惑星の有力な候補の一つです。この惑星の主星であるかに座55番星Aは炭素に富んでおり、かに座55番星eは地球よりも大きなスーパーアースで、表面温度も2000℃前後と高温であることから、表面は黒鉛、内部はダイヤモンドで構成されていると考えられています。

まとめ

炭素惑星は、理論上は存在しうるものの、まだ確認されていない謎多き惑星です。今後の観測技術の発展によって、その実態が解明されることが期待されます。

参考文献

（参考文献リストは原文に記載がないため、省略します）

関連項目

組成による惑星の分類
鉄惑星
地球型[[惑星]]（岩石惑星）
木星型惑星（巨大ガス惑星）
天王星型[[惑星]]（巨大氷惑星）
太陽系外[[惑星]]
仮説上の天体

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