無線局免許証票

無線局免許証票とは

無線局免許証票は、かつて総務省令電波法施行規則に規定されていた、移動する無線局に無線局免許状とともに発給された証票です。

概要

無線局免許証票は、1960年代に制度化され、当初は簡易無線局（現在の免許不要局）に対して「簡易無線局の証」として発給されました。その後、無線機の利用が普及するにつれて、免許状の携帯や掲示の不便さ、不法無線局の増加といった問題に対応するため、1970年に証票が復活しました。

復活後の証票は、車載機の場合はダッシュボード上など外部から見えやすい場所に、携帯機の場合はケースのポケットに入れるなどして掲示することが想定されていました。その後、技術の進歩に伴い証票は小型化され、シール状になりました。しかし、免許不要局の増加や、免許の有効期限管理に特化する目的から、2018年2月末日に廃止されました。廃止後も、免許の有効期限までは証票を貼付したままにすることができました。

廃止時の状況

廃止時、無線局免許証票の備え付けが義務付けられていた無線局は、以下の通りです。

船上通信局
陸上移動局
携帯局
無線標定移動局
携帯移動地球局
陸上を移動する地球局で停止中にのみ運用を行うもの
移動する実験試験局（宇宙物体に開設するものを除く。）
移動するアマチュア局（アマチュア衛星に開設するものを除く。）
移動する簡易無線局（パーソナル無線を除く。）
移動する気象援助局

ただし、ラジオゾンデやラジオ・ブイ、電気通信業務を行う陸上移動局などは対象外でした。

様式

無線局免許証票の様式は、総務省告示によって定められていました。主な様式は以下の3種類です。

1. 同一日に有効期間が満了する無線局
縦13mm×横15mmの長方形
「R」の字を図案化した枠内に、「無線局」「免許証票」「総務省」と記載
地色は免許の有効期限によって異なり、緑、青、赤、灰色、黄色、紫の順に繰り返される
文字は黒色
陸上を移動する地球局で、電気通信業務用のものは再免許で継続使用可能
2. アマチュア局及びパーソナル無線を除く簡易無線局
縦13mm×横15mmの長方形
「R」の字を図案化した枠内に、免許の有効期限の年の下1桁を表す元号のアラビア数字を記載
枠外の上に「無線局免許証票」、下に「総務省」と記載
アマチュア局は、地色が赤色、文字が白色、R枠内は白色、数字が赤色
簡易無線局は、地色が白色、文字が黒色
3. 上記以外の無線局
縦25mm×横30mmの長方形
「R」の字を図案化した枠内に、「無線局」「免許証票」「総務省」と記載
「R」の枠外に0から9までの数字を記載し、有効期間満了年の下一桁を切り取ることで表現
地色は白色、文字は黒色

証票はシール状で、地色以外の色については特に規定はありませんでした。

沿革

無線局免許証票の沿革は以下の通りです。

1960年（昭和35年）：郵政大臣が告示した証票を発給、指定場所に貼付。
1961年（昭和36年）：27Mc帯の市民ラジオに「簡易無線局の証」が発給。
1967年（昭和42年）：簡易無線局の証は廃止。
1970年（昭和45年）：陸上移動局と携帯局に郵政大臣が告示した証票を備え付けることが義務化。
1973年（昭和48年）：移動する簡易無線局が発給対象に追加、市民ラジオは2種類の様式に。
1982年（昭和57年）：様式が一本化。
1984年（昭和59年）：公衆通信業務用の無線局の様式が変更、有効期限の表示が削除。
1991年（平成3年）：証票の様式が大きく変更。
1992年（平成4年）：移動するアマチュア局が対象に追加。
1994年（平成6年）：現在の様式の基礎となる、平成6年郵政省告示第76号が制定。
2001年（平成13年）：中央省庁再編に伴い、表示が「総務省」に変更。
2007年（平成19年）：パーソナル無線以外の移動する簡易無線用の様式が、アマチュア局用と同様に変更。
2009年（平成21年）：アルゴスシステムの実験試験局が対象外に。
2018年（平成30年）：2月28日に廃止。

無線局免許証票は、長年にわたり無線局の管理と識別において重要な役割を果たしてきましたが、技術の進歩や制度の変化に伴い、その役目を終えました。

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