燕 (春秋)

燕（えん）的歴史

燕は紀元前1100年頃から紀元前222年にかけて存在した中国の古代国家であり、春秋時代と戦国時代において重要な役割を果たしました。国家は河北省北部を中心に広がり、首都は現在の北京にあたる薊（けい）にありました。燕は春秋十二列国にも名を連ね、多くの歴史的な出来事と関わっています。

燕の建国と初期の歴史

燕の建国は周代にまで遡ります。始祖は周建国の元勲である召公奭で、彼の一族は初め山東半島に封じられていましたが、周の成王の時代に現在の北京地域に移住しました。この背景により、国名が「燕」となったと言われています。西周時代には、燕を支配した民族の中に韓侯国との関わりも見られ、特に春秋時代に入ると、北方から遊牧民族の攻撃を受けることが増えたようです。

春秋時代の燕

春秋時代において、燕は隣国との連携を求めることが多く、特に斉の桓公との関係は重要でした。紀元前664年頃、北方の山戎に攻撃を受けた際、燕の荘公は桓公に援軍を求め、彼の助けを得て戦を勝利に導きました。このような外交関係は、燕にとって国を守るための重要な要素でしたが、史書に記述されることは少なく、詳細な情報は限られています。

戦国時代と燕の勃興

戦国時代に入ると、燕は広大な領域を支配する国に成長しました。紀元前334年の『史記』によると、東には朝鮮、北には林胡、西には雲中、南には易水があるとされ、これは地域の広がりを示しています。この時期、燕は新たに王号を獲得し、名を「王」と名乗るようになりました。しかし、藩主が盲信した宰相によって国内が混乱し、隣国に侵攻を許すこととなりました。

燕の昭王は、国の改革を進めるために有能な人材を求め、郭隗を尊重しました。彼は「まず隗より始めよ」として、名将楽毅をはじめとする多くの人材を招き入れ、燕は再建に向かって進みました。特に秦開による北方遊牧民族への遠征は成功を収め、その結果として領土を広げました。

燕の極盛

昭王の下、燕は他国との連携を築き、紀元前285年頃には5つの国と連合を結成し斉軍を破ります。この戦争の成功により、燕はその名声を高め、周辺地域をほぼ支配下に置くまでになります。朝鮮半島の南部にも勢力を広げ、短期間で巨大な国として知られるようになりました。

燕の滅亡

しかし、昭王が死去すると、その後の君主は国内外の圧力に苦しみます。特に、隣国との関係は微妙になり、秦が力を伸ばす中で燕の国力は次第に衰えていきました。古代中国における大きな転換点として、紀元前228年に起こった趙の滅亡は燕にも影響を与え、結果として秦による侵略を招くことになります。

燕の太子は刺客を派遣するも失敗し、最終的には首都が陥落し、国は滅びます。これにより、燕は秦の統治下に入り、歴史の舞台から姿を消しました。

燕のその後

滅亡後に燕の地は異なる歴史をたどりますが、紀元前209年頃、燕人の一部が新たな国家を建国します。この時期の燕人の活動や彼らがもたらした影響は、後の朝鮮半島の歴史にも繋がります。燕の長城は現在もその遺構が見られ、燕の文化や歴史が多くの地域に影響を与えたことが理解されます。

總括

古代中国の歴史において、燕は盛時には非常に広大な領域を支配し、その文化や影響は他の民族との結びつきを生む要因となりました。燕の存在は中国の歴史の中で重要な役割を果たしましたが、その悲劇的な終焉と後の影響もまた興味深いものです。

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