燧ヶ岳

燧ヶ岳（ひうちがたけ）

燧ヶ岳は、福島県会津地方の南西部に位置する火山で、標高は2,356メートルです。これは東北地方以北では最高峰にあたります。この山は南会津郡檜枝岐村に属しており、周囲の美しい自然環境が魅力的です。また、尾瀬国立公園内にある尾瀬沼が南東の山麓に広がり、至仏山とともに尾瀬の代表的な山とされています。燧ヶ岳は「日本百名山」の一つにも選ばれており、多くの登山者や自然愛好者に親しまれています。

山名の由来

燧ヶ岳の名前の由来には、麓から見える残雪の形が火打ちばさみに似ていることがあると言われています。この特徴的な姿は、訪れる人々を惹きつける一因となっています。

地理的特徴

山の上部には、柴安嵓（しばやすぐら、2,356m）、俎嵓（まないたぐら、2,346m）、ミノブチ岳、赤ナグレ岳、御池岳の5つのピークが存在します。これらのピークは尾瀬ヶ原からの景観としても楽しむことができ、特に柴安嵓と御池岳、赤ナグレ岳の組み合わせは素晴らしいものです。登山道は、柴安嵓、俎嵓、ミノブチ岳の間を結びつけており、俎嵓には燧岳の二等三角点があります。

噴火と歴史

燧ヶ岳は安山岩やデイサイトで構成される活[[火山]]で、約16万年前に発生した火山活動から始まりました。約8,000年前には山体崩壊が起こり、尾瀬沼が形成されたと考えられています。歴史的な記録では、約500年前にデイサイトマグマが噴出し、御池岳の溶岩ドームが形成されたことが明らかになっています。1544年には「白ヒケ水」と呼ばれる洪水が檜枝岐村で発生したことが記録されており、これは水蒸気噴火によると推測されています。

登山道と登頂

燧ヶ岳への登山は、平野長蔵による1889年の初登頂から記録に残っています。山には現在、南、北、西、南東の4方向からの登山道があります。森林に覆われているため、山頂に近づくまでは展望が望めません。また、山中には山小屋がないため、登山を計画する際には十分な準備が必要です。

主な登山ルート

1. 沼尻休憩所から（ナデッ窪）
南からアプローチし、ミノブチ岳に向かう最短ルートですが急峻で滑りやすく、しばしば閉鎖されるため注意が必要です。

2. 長蔵小屋から（長英新道）
南東からのルートで、ミノブチ岳で同行ナデッ窪と合流し、俎嵓へ至ります。ぬかるみが多いため使用する際には慎重に。

3. 御池から
北方から俎嵓へ向かうルートで、直接車でアクセスできる唯一の道です。広沢田代や熊沢田代といった魅力的な湿原を通るため人気があります。

4. 見晴から（見晴新道）
西からのルートで、柴安嵓に至ります。台風により一時通行禁止だったルートも復旧しました。

5. 温泉小屋から（温泉小屋道）
2007年以降は廃道となったルートで、登山口近くは増水時に水に浸かりながら渡渉が必要でした。

燧ヶ岳は、その美しい風景と登山の楽しさから、訪れる人々に感動を与えています。山の持つ歴史や自然を感じながら登ることができるこの場所は、多くの人にとって特別な体験となるでしょう。

もう一度検索