王世杰

王世杰（おう せいけつ、1891年 - 1981年）は、中華民国の政治家、法学者であり、字を雪艇と称しました。彼の生涯は、激動の20世紀における中国の政治と文化の変遷を映し出す鏡と言えるでしょう。教育者、政治家、外交官として多岐にわたる分野でその才能を発揮し、中華民国の発展に大きく貢献しました。

生涯

民国初期の活動

清朝末期、王世杰は南路高等小学、湖北優級師範学校を経て、省立天津北洋大学に入学しました。1911年の武昌起義勃発時には、革命派の都督府秘書として活動しました。1913年にはイギリスに留学し、ロンドン大学政治経済学院（LSE）で政治経済学を学び、1917年に学士号を取得。その後、フランスのパリ大学に進学し、1920年に法学博士号を取得しました。帰国後は、国立北京大学で教鞭を執る傍ら、週刊誌『現代評論』を創刊し、言論界でも活躍しました。

国民政府での活動

1927年、王世杰は国民政府法制局局長に任命され、その後、湖北省政府委員兼教育庁庁長を務めました。1928年には、デン・ハーグの常設仲裁裁判所仲裁人に任命され、同年11月には立法院立法委員に就任しました。1929年には国立武漢大学校長に就任し、教育行政にも手腕を発揮しました。1931年には中国国民党第4期候補中央監察委員に選出されました。

1933年、王世杰は国民政府教育部部長に抜擢され、教育分野で重要な役割を担いました。1935年には国立中央研究院第1期評議員に就任し、同年11月には国民党第5期候補中央監察委員に選出されています。1938年に教育部長を退任し、軍事委員会参事室主任に転じ、政治部指導委員を兼任。また、国民参政会秘書長も務めました。1939年には国民党中央宣伝部部長に就任し、日中戦争（抗日戦争）における抗日宣伝活動を主導しました。1941年から1943年まで中央設計局秘書長も兼任し、1943年には三民主義青年団第1期中央監察会監察に任命されました。1944年には中央宣伝部部長に再任されました。

1945年、王世杰は第6期国民党中央監察委員に再選され、同年7月には行政院長に就任した宋子文の後任として外交部長に任命されました。外交部長として、中ソ友好同盟条約の締結に尽力し、また、中国共産党との双十協定の交渉にも携わりました。1946年のパリ講和会議では代表団団長を務め、1947年と1948年の国連総会では首席代表として活躍しました。さらに、制憲国民大会と行憲国民大会の代表も務め、1948年には中央研究院院士に選出されました。同年12月に外交部長を離任しました。

台湾での活動

蔣介石が台湾に撤退した後、王世杰もこれに随従し、1950年に総統府秘書長に任命されました。1952年には国民党中央評議委員に就任（第12期まで連続就任）。1958年には行政院政務委員に任命され、国連総会代表も何度か務めました。1962年には中央研究院院長に就任し、文化振興にも貢献。国立故宮博物院などの要職も歴任しました。1970年に院長を辞任し、総統府資政に転任。1981年、台北で90歳で逝去しました。

著作

『比較憲法』
『中國奴婢制度史』
『故宮名畫三百種』（主編）
『藝苑遺珍』（主編）

王世杰は、政治、法律、教育、文化の各分野において多大な功績を残し、その生涯は中国近現代史における重要な一頁を飾っています。

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