王佐 (戸部尚書)

王佐（おう さ）は、明代の官僚であり、字は孟輔（もうほ）と称しました。洪武17年（1384年）に生まれ、正統14年8月15日（1449年9月1日）に亡くなりました。彼の出身は武定州海豊県です。

生涯

永楽9年（1411年）、王佐は郷試に合格し、その学識が認められて太学で学びました。卒業後、その優れた学識と品行から、永楽15年（1417年）に吏科給事中に抜擢され、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

宣徳2年（1427年）、王佐は戸部右侍郎に昇進しました。当時、太倉、臨清、徳州、淮、徐などの各地の倉庫で不正が横行しており、宣徳帝は王佐にこれらの倉庫の巡視を命じました。王佐は、この任務を遂行し、その不正を正すことに尽力しました。

宣徳6年（1431年）、平江伯陳瑄が運河開削のために動員された12万人の兵を、南方からの兵と交代させるよう進言しました。宣徳帝は王佐に、陳瑄や黄福とこの件について議論するよう命じました。王佐は、北京に戻って東南の民力が疲弊していることを上奏し、結果として交代の議論は立ち消えとなりました。宣徳7年（1432年）、王佐は通州から直沽に至る河道の修復を命じられ、その後、宣府に赴き屯田に関する協議を行いました。彼の河川や農業に対する深い理解が示された出来事です。

宣徳10年（1435年）、英宗が即位すると、王佐は河南府に駐屯しました。軍衛の税糧徴収における不正が多発していたため、王佐はその制度の改革を求めました。その後、戸部左侍郎に進み、甘粛の軍隊への食糧供給を監督するよう命じられました。正統元年（1436年）、長蘆の塩税を監督し、正統3年（1438年）には、北京と通州の倉庫を管理しました。

正統6年（1441年）、戸部尚書の劉中敷が罪を得たため、王佐は召還され、戸部の事務を代行することになりました。その後、戸部尚書に昇進しました。正統11年（1446年）、英宗の命により、安郷伯張安兄弟の禄を争う事件を調査しましたが、法司との間で責任を押し付け合う事態となりました。この件で弾劾を受けて法吏に引き渡されましたが、後に釈放されました。当時、軍事費が膨大になり、国の財政は逼迫していました。王佐は各方面との調整を図り、経費の削減に努めました。

正統14年（1449年）には、土木の変が勃発し、王佐は鄺埜、丁鉉、王永和、鄧棨らと共に殺害されました。死後、少保の位が追贈され、成化2年（1466年）には忠簡という諡号が贈られました。

王佐は、その生涯を通じて、明王朝の発展に大きく貢献した人物であり、その功績は後世に語り継がれています。

まとめ

王佐は、明代中期に活躍した官僚であり、その職務を通じて財政改革、河川管理、軍事支援など多岐にわたる分野で貢献しました。彼の誠実さと能力は、多くの困難な状況を乗り越え、国家の安定に寄与しました。しかし、土木の変で悲劇的な最期を遂げました。彼の生涯は、明代の歴史を語る上で欠かせない重要な一部分です。

参考資料

* 『明史』巻167 列伝第55

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