王茂 (南朝)

王茂（おう ぼう）

王茂（456年 - 515年）は、南朝時代の宋、斉、梁に仕えた武将です。字は休遠、本貫は太原郡祁県。

生涯

幼い頃から才能を発揮し、祖父である王深に「我が家の千里駒」と賞賛されました。物静かで落ち着いた性格で、軽はずみな交際は好みませんでした。身長は8尺あり、色白で美しい容姿だったと伝えられています。斉の武帝がまだ身分の低い頃、幼い王茂を見て、その堂々とした姿に感嘆したと言われています。

宋の時代には奉朝請となり、後軍行参軍、司空騎吏、太尉中兵参軍などを歴任しました。その後、鎮南司馬、臨湘令、越騎校尉、寧朔将軍長史、前軍将軍江夏王司馬、寧朔将軍・江夏内史といった官職を歴任しました。

495年、北魏が司州を包囲した際には、郢州の兵を率いて救援に駆けつけ、蕭衍（後の梁の武帝）と共に北魏の将軍である王粛らを打ち破るという功績を挙げました。その後、輔国長史・襄陽郡太守に任じられ、蕭衍の幕下に入ります。一時期、王茂が蕭衍に背こうとしているという讒言がありましたが、蕭衍は王茂の才能を惜しみ、この讒言を退けました。

500年、蕭衍が蕭宝巻（東昏侯）に対して反乱を起こすと、王茂は蕭衍の下に馳せ参じ、軍の先鋒として郢州を制圧しました。さらに、曹景宗らと共に先鋒として長江を下り、大航で王珍国らの軍を破りました。首都建康が平定されると、護軍将軍に任じられ、すぐに侍中・領軍将軍に昇進しました。この時、蕭宝巻の妃であった潘玉児は非常に美しい女性で、蕭衍は彼女を自分のものにしようと考えましたが、王茂が諫めたため、潘玉児は処刑されました。蕭衍は、潘玉児に次ぐ余妃を王茂に与えたとされています。

502年に梁が建国されると、王茂は元の官職に鎮軍将軍を加えられ、望蔡県公に封じられました。同年、都で盗賊が神虎門を焼き、衛尉の張弘策を殺害する事件が発生すると、王茂は兵を率いて駆けつけ、賊を射殺しました。しかし、王茂は賊の襲撃を防げなかったことを理由に辞職を願い出ましたが、武帝は慰留しました。江州刺史の陳伯之が反乱を起こすと、使持節・散騎常侍・都督江州諸軍事・征南将軍・江州刺史に任じられ、反乱の鎮圧に尽力しました。

506年、2万の兵を率いて北魏に侵攻しましたが、河南城で北魏の平南将軍である楊大眼に敗れ、撤退しました。507年には尚書左僕射に任じられましたが、これを固辞し、代わりに侍中・中衛将軍・領太子詹事に就任しました。508年には車騎将軍に任じられ、翌509年には以前の官職に加え、開府儀同三司・丹陽尹となりました。

王茂は、官職に就いて特に名声を博したわけではありませんでしたが、寛大な人柄で部下や民衆から慕われていました。常に身だしなみを整え、僕妾の前でもだらしない様子を見せることはありませんでした。容姿が美しく、朝廷に出入りする際には、人々が彼を仰ぎ見たと言われています。建国後、武帝が文雅の士を信任するようになると、王茂はこれを快く思わず、酒宴で酔うたびに不満を口にしましたが、武帝は毎回彼を宥め、咎めることはありませんでした。

512年、司空に任じられ、侍中・丹陽尹は元のままとされました。丹陽尹を辞任すると、中権将軍に任じられました。513年、使持節・散騎常侍・驃騎将軍・開府儀同三司・都督江州諸軍事・江州刺史に任じられました。515年、江州で亡くなりました。享年60。死後、侍中・太尉を追贈され、諡は忠烈とされました。子の王貞秀が跡を継ぎましたが、服喪中に無礼を働いたとして弾劾され、越州に流されました。その後、広州に流された王貞秀は、北魏からの降伏者である杜景と共に反乱を計画しましたが、刺史の蕭昂によって誅殺されました。

伝記資料

『梁書』巻9 列伝第3
『南史』巻55 列伝第45

もう一度検索