王誕

王誕（おう たん）

王誕（375年 - 413年）は、東晋末期の官僚です。字は茂世といい、琅邪郡臨沂県を本貫とします。

生涯

王誕は、王混（王導の子である王恬の子）の子として生まれました。太元21年（396年）、孝武帝が崩御した際、王誕の従叔父にあたる尚書令の王珣が哀策文を作成していましたが、なかなか完成しませんでした。そこで王誕に意見を求めたところ、王誕が「霜繁広除、風回高殿」と加筆しました。王珣はその出来栄えに感心し、王誕の加筆部分を採用したといいます。王誕は父の雉郷侯の爵位を継ぎ、秘書郎に任じられ、琅邪王文学・中軍功曹を歴任しました。

隆安4年（400年）、会稽王世子の司馬元顕が後軍府を開くと、王誕は召されて功曹に任じられました。その後、尚書吏部郎に任じられ、そのまま後軍長史となりました。廬江郡太守を兼任し、鎮蛮護軍の任も加えられました。後軍長史のまま、龍驤将軍・琅邪国内史に転じました。司馬元顕の側近であった張法順と親交を深め、司馬元顕に取り入って重用されたといいます。司馬元顕が妾を邸に入れる際には、王誕自らが出迎えたという逸話も残っています。元興元年（402年）、司馬元顕の下で驃騎長史に転じました。

元興2年（403年）、桓玄が政権を掌握し、司馬元顕が殺害されると、王誕もまた処刑されそうになりましたが、陳修の請願により一命を赦され、広州に身柄を移されました。

元興3年（404年）、盧循が広州に拠ると、王誕はその下で平南府長史となり、礼遇を受けました。しかし、王誕は建康への帰還を望み、盧循が拘束していた広州刺史の呉隠之を釈放するよう説得し、呉隠之とともに建康に帰還しました。

義熙5年（409年）、劉裕の下で太尉諮議参軍となり、長史に転じました。劉裕が北伐して南燕を攻撃すると、王誕は斉郡太守を兼任しました。義熙6年（410年）、盧循が蔡洲から南に逃走すると、劉毅が自ら志願して追討を強く求めました。しかし、王誕が劉毅に功績を立てる機会を与えてはならないと進言したため、劉裕は王誕の意見に従い、劉毅による追撃を許可しませんでした。義熙7年（411年）、王誕は呉国内史となりましたが、母が死去したため辞職し、喪に服しました。劉裕が劉毅を討つにあたって、輔国将軍として再起を求められましたが、王誕は軍号を固辞し、喪服のまま従軍しました。劉毅が平定されると、太尉府で留守を預かる諸葛長民が不穏な動きをしていたため、王誕は劉裕に先んじて建康に帰還し、事態の収拾に尽力しました。

義熙9年（413年）、王誕は死去しました。享年は39歳。唐県五等侯を追封されました。

子の王詡は、南朝宋の世子舎人となりましたが、早逝しました。

伝記資料

『宋書』巻52 列伝第12
『南史』巻23 列伝第13

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