王誕 (前燕)

王誕（おう たん、生没年不詳）は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物であり、昌黎郡の出身です。

生涯

王誕は西晋に仕え、幽州別駕という職に任じられていました。西晋時代、永興2年（305年）に幽州刺史であった和演が亡くなると、東夷校尉の李臻の元へ身を寄せました。この時、王誕は李臻に対し、兵を挙げて安北将軍の王浚を討つべきであると説きました。

永嘉3年（309年）12月、李臻は王誕の進言に応じ、子の李成を派遣して王浚打倒に向かわせました。しかし、その隙を突いて遼東郡太守の龐本が李臻を襲撃し、李臻を殺害しました。さらに龐本は刺客を放ち、無慮において李成をも殺害しました。これにより、王誕は身の危険を感じ、鮮卑慕容部の大人である慕容廆の元へ逃げ込み、そのまま慕容廆に仕えることとなりました。

慕容廆に仕えた王誕は、帯方郡太守に任じられました。その後、咸和8年（333年）6月、慕容廆が亡くなり、子の慕容皝が後を継ぐと、王誕は慕容皝から左長史に任じられました。しかし、王誕は遼東郡太守である陽騖の才能を高く評価しており、慕容皝に対し、左長史の地位を陽騖に譲りたいと申し出ました。慕容皝はこれを受け入れ、陽騖を左長史に、王誕を右長史に任じました。

右長史に任じられた後の王誕の事績については、史書には記録が残されていません。

王誕は、西晋から前燕へと時代が移り変わる激動の時代を生きた人物であり、その生涯は、当時の政治情勢や社会状況を反映しています。特に、李臻への進言や、慕容廆への仕官など、彼の決断は、時代の流れを読み、自らの身を処していくためのものであったと考えられます。また、陽騖への左長史の地位の譲渡は、彼の人物像を示すエピソードとして興味深いものです。

参考文献

『資治通鑑』巻87、巻95
『十六国春秋』巻24

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