甘露寺伊長

甘露寺伊長について

甘露寺伊長（かんろじ これなが）は、室町時代後期から戦国時代にかけて重要な役割を果たした公卿の一人です。彼は甘露寺元長の子として生まれ、甘露寺家の19代目を継承しました。彼の生涯における官位や役職の変遷は、当時の政治状況を知る手助けとなります。

官歴の変遷

伊長は、長享元年（1487年）に従五位下に叙爵されたことから政治の世界への足を踏み入れました。その後、明応に入ると、元服を経て、左衛門佐としての役職を担います。次第に官位を上げ、初めは従五位上、さらに正五位下、正五位上を獲得しました。

彼は明応9年に蔵人としても知られ、その後権右少弁に任命されました。これは彼が官界での影響力を強めていく重要なステップでした。また、永正4年には左少弁、永正7年には左中弁としての職務も果たしました。

このように、彼の官位は徐々に昇進し、永正15年には左大弁、参議にまで達します。さらに永正16年には従三位、永正18年には権中納言として、その地位の確立を図りました。その後、大永2年に正三位、享禄2年に従二位と、官職を重ねていきます。

最終的には天文3年に権大納言に任命され、天文10年には上卿として重要な役割を果たすようになります。天文12年には神宮伝奏にも就任し、権威を増していく中で、1534年から1549年までの間に数回にわたり重要な政治的地位を保持しました。

晩年と死去

伊長は晩年に従一位にまで昇進しましたが、1549年の12月30日に享年65歳で生涯を閉じました。彼の死は、その当時の公卿社会における一つの時代の終焉を象徴する出来事でもあったと言えます。

家族と系譜

甘露寺伊長の父は甘露寺元長であり、母は高倉永継の娘です。彼には生母不明の子女も多く、女子の一人は正親町公叙室として名を馳せ、後に甘露寺経元室となりました。また、木造氏の妻も持つ多様な系譜が彼の血筋を彩っています。

養子も迎え入れており、甘露寺俊長、甘露寺熙長、甘露寺経元といった子孫が彼の名を受け継ぎました。特に甘露寺経元は冷泉為豊の次男として家督を継ぎ、家系の発展に寄与しました。これらの繋がりが、甘露寺家の歴史において意味を持つこととなります。

結論

甘露寺伊長の生涯は、室町時代から戦国時代にかけての京都の政治を理解するための重要な鍵となります。彼は様々な官位を歴任し、政治的な影響力を強化する中で、甘露寺家の名を後世に残しました。彼の業績と人脈は、当時の公卿社会における重要な位置を占めていました。

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