甚吉森 (秋田県・青森県)

甚吉森について

甚吉森（じんきちもり）は、秋田県大館市と青森県平川市、大鰐町の境界に位置する山です。この山は、岩木川の最大の支流である平川の源流域として重要な役割を果たしています。

地理

この山は大鰐山地という山塊の東部にあり、周囲には標高665メートルの万左衛門山、820メートルの大日影山、571メートルの炭塚森、785.5メートルの馬糞森山など、多くの山が連なっています。それぞれの稜線は青森県側の岩木川水系と秋田県側の米代川水系の分水嶺を形成しており、地理的にも重要な地点にあります。

地質

甚吉森の主な地質は、主に第三紀に由来する緑色凝灰岩です。これにより、山は独自の地形を形成し、周囲の環境と相まって多様な生態系が育まれています。

地形

一帯は標高差400メートルから600メートル程度の中起伏山地で、美しい風景を形成しています。特に北山麓、南山麓、東山麓は川の浸食によって開析が進んでおり、その結果、豊かな自然環境が生まれています。北側は岩木川の三次支川である島田川によって侵食され、北西側には小さな起伏があります。また、東側には岩木川の二次支川湯ノ沢、南側には米代川の二次支川の源流の沢があります。

自然

この地域の低標高域では、天然林の伐採が行われた影響でスギやカラマツといった人工林が多く見られます。一方、山頂付近にはブナやミズナラの美しい森が広がり、訪れる人々に自然の魅力を伝えています。

歴史

江戸時代には、碇ヶ関御関所の脇道番所が早瀬野と島田の甚吉峠にあり、補助的な役割を果たしていました。地域の歴史において重要な地点でした。

地誌

甚吉森から南東側の炭塚森へ続く稜線には矢立峠が通じており、これは羽州街道の要地の一つとして知られています。江戸時代には、津軽藩の「津軽三関」の一つに数えられ、その重要性は今でも地域の人々に認識されています。また、山の西斜面には青森県の湯ノ沢温泉や秋田県の日景温泉・矢立温泉が湧き出ており、多くの観光客が訪れます。さらに、北斜面には島田川の中流に位置する島田温泉が開かれています。

登山

甚吉森は秋田・青森県境にある「白神矢立登山道」の最北端に位置する山です。この山や周辺の大日影山、縫戸山をまとめて「矢立三山」とも呼ばれています。山頂は広々とした草地の広場になっているものの、周囲の樹木のため展望はあまり良くありません。山頂に至る登山道は急な坂が特徴で、ブナ林の中を通り抜ける過程は自然の魅力を感じられます。

登山道は矢立温泉や日景温泉、道の駅やたて峠からアクセスが可能で、整備された道や遊歩道、展望台なども整っています。これにより、多くの登山者が訪れ、自然を楽しむことができます。

参考文献

• - 小池一之他著『日本の地形3　東北』
• - 日本山岳会編著『新日本山岳誌』
• - 東奥日報社『青森県百科事典』
• - 平凡社『日本歴史地名大系2 青森県の地名』
• - 角川書店『角川日本地名大辞典2 青森県』
• - 西田正司『白神の山旅　世界自然遺産ガイドブック』

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