田中武雄 (拓務官僚)

田中武雄の生涯と業績

田中 武雄（たなか たけお、1891年1月17日 - 1966年4月30日）は、日本の官僚として知られ、特に朝鮮における行政で多くの重要な役割を担った人物です。彼は三重県に生まれ、耐久中学を卒業後、1912年に明治大学法律学部を修了しました。

初期のキャリア

田中は倫理的な法律の知識を持ち、1914年には長野県警察で警部補として勤務を開始しました。その後、同警察で警視に昇進し、警察業務に関する経験を積んでいきました。1915年には高等文官試験に合格し、その成績により朝鮮総督府に事務官として勤務することとなりました。

彼は咸鏡北道の警察部長や、警務局の警察課長・保安課長として、公安や治安に関連する各種業務を担当し、京畿道警察部長としても活躍しました。また総督官房外事課長としての役職も歴任します。これらの職務を通じて、田中は日本の植民地支配の中で重要な役割を果たしました。

高い地位への昇進

1936年には朝鮮総督府の警務局長に任命され、その後の9月には退官しました。その後も政治的な参加は続き、1938年には新民会監察部の次長を務め、1939年には拓務次官に就任します。彼のこの時期の活動は、戦前の日本における政治や行政に大きな影響を与えました。

1940年には公職を退いた後、満洲移住協会の常務理事に就任し、移住政策に関与しました。1942年には朝鮮総督府の政務総監として政府機関の運営に関与し、さらには1944年に小磯内閣の内閣書記官長となり、対満事務局、軍需省、総力戦研究所などの重要な任務に携わります。

戦後の活動と晩年

1945年の2月には貴族院議員に勅選されましたが、翌1946年には辞任し、公職追放の措置を受けることとなります。1951年には公職追放が解除され、その後は政治活動を続けました。1953年においては、第3回参議院議員通常選挙に全国区から改進党の公認を受けて立候補するも、惜しくも落選しました。

戦前・戦中は主に警務や軍務に関連した業務で活躍した田中ですが、戦後は社団法人「中央日韓協会」の会長として日韓の交流や協力を推進したことでも知られています。彼の業績はその生涯にわたり、特に日本の植民地政策やその後の関係構築において重要な役割を果たしました。田中武雄はその生涯を通じて、日本の官僚制度と朝鮮における政治的背景の中で、複雑な立場を持ちながらも多くの責任を担いました。

参考文献

• - 『輓近大日本拓殖史』日本行政学会、1934年。
• - 人事興信所編『人事興信録 第12版（上）』人事興信所、1939年。
• - 日本官界情報社編『日本官界名鑑 昭和十七年版』日本官界情報社、1942年。
• - 『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
• - 学習院大学『東洋文化研究』2号 2000.3、監修：宮田節子、編集協力：岡本真希子、河かおる、田中隆一、宮本正明「十五年戦争下の朝鮮統治」。
• - 『国政選挙総覧：1947-2016』日外アソシエーツ、2017年。

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