白塚駅

三重県津市白塚町に所在する白塚駅（しらつかえき）は、近畿日本鉄道名古屋線（駅番号E36）の停車駅です。列車待避が可能な構造を持ち、駅の東側には車両基地である明星検車区白塚車庫が併設されています。当駅の歴史は、現在の場所に駅が設置される以前、1944年に廃止された逆川駅まで遡ることができます。

歴史

白塚駅の開設に先立つこと約30年、1915年（大正4年）9月10日に伊勢鉄道の白子駅と一身田町駅（現在の高田本山駅）間が開通した際に、逆川駅が誕生しました。その後、鉄道会社の合併や改称を経て、1926年（大正15年）には伊勢電気鉄道、1936年（昭和11年）には参宮急行電鉄の駅となります。さらに1941年（昭和16年）には大阪電気軌道との合併により関西急行鉄道の駅となり、同時に名古屋線所属となりました。

歴史的な転換点となったのは1944年（昭和19年）5月8日です。この日、逆川駅は廃止され、現在の白塚駅が開業しました。わずか1ヶ月後の同年6月1日には、関西急行鉄道と南海鉄道が合併し、近畿日本鉄道が発足。白塚駅は近畿日本鉄道の駅として新たな歴史を刻み始めました。ICカードの利用は比較的遅く、2007年（平成19年）4月1日からPiTaPaが使用可能となりました。

駅構造と設備

白塚駅は地上駅であり、4両編成に対応した島式ホーム2面4線を有しています。内側2線（2番線・3番線）が本線、外側2線（1番線・4番線）が待避線として機能しており、列車待避が可能です。駅舎は下り線側（東側）の南端に位置し、各ホームとは構内踏切で連絡しています。この構造により、車椅子でのホーム間の移動も比較的容易です。駅構内には後述する明星検車区白塚車庫と、乗務員が所属する白塚列車区が設けられています。トイレは改札内にあり、男女別の水洗式が整備されています。

駅の管理は白子駅が行っています。2023年時点では窓口での常時係員配置による旅客対応は行われておらず、窓口も閉鎖されています。利用者はインターホンや白子駅への電話連絡を通じて必要な対応を受けます。かつて窓口が営業していた時代も係員が不在のことが多く、定期券や特急券の販売は行われていませんでした。

駅設備としては、券売機と精算機がそれぞれ1台ずつ設置されています。自動改札機はPiTaPaやICOCAに対応していますが、三重交通のemicaチャージ機はありません。

のりばと列車運用

前述の通り、内側線が主本線、外側線が待避線です。特に1番線は近鉄名古屋方面への発車に対応しており、白塚車庫からの直接出庫・入庫も可能です。2022年12月17日時点の平日ダイヤでは、1番線から近鉄名古屋方面へ向かう普通列車が数本設定されています。

当駅は普通列車のみが停車し、日中時間帯は上下線ともに1時間あたり2本の列車が発着します。白塚車庫が併設されているため、当駅を始発・終着とする普通列車が設定されており、志摩線賢島駅からの列車は原則として当駅まで運行されます。ただし、賢島駅と当駅を直通する列車は早朝に当駅始発が1本、平日夜間に当駅終着が1本のみです。また、平日朝に山田線宇治山田駅から当駅終着の列車が1本ありますが、その他は名古屋方面または伊勢中川駅からの列車が中心です。

急行や準急は通過しますが、普通列車の編成両数は停車駅のホーム有効長に制約があり、当駅を境に名古屋方面は最大3両、鳥羽方面は最大4両となっています。このため、津新町駅や伊勢中川駅を終着とする一部の列車では、当駅で車両交換が行われます。名古屋方面への車両交換では、まず1番線に交換用の車両が入線・開扉し、次に2番線に到着した交換元の車両から同一ホーム上で乗客が乗り換える方式が取られています。

2018年（平成30年）3月17日のダイヤ変更以前は、当駅が普通列車の重要な折り返し拠点でした。昼間時は名古屋方面発着の普通列車の約1/3と、賢島方面発着の全普通列車が当駅で折り返しており、ダイヤ上でも乗り換えがスムーズに行われていました。変更前は、早朝や夕方以降に当駅始発の津新町行き、宇治山田行き、鳥羽行きの列車も設定されていました。

白塚車庫

駅東側に隣接して明星検車区白塚車庫が設けられています。これは近鉄名古屋線に所属する一般車両の仕業検査や折り返し整備、夜間滞泊を行うための施設です。構内には、乗務員が勤務する白塚列車区や、動力車操縦者の養成も行う教習所、白塚体育館も併設されています。白塚車庫には車両そのものは配置されておらず、名古屋線系統の富吉車庫や山田線系統の明星検車区明星車庫を補完する役割を担っています。

かつては「白塚検車区」として独立した組織であり、白塚車庫に加えて内部線の内部車庫も管轄していました。しかし、2003年（平成15年）5月に明星検車区に統合され、内部車庫は富吉検車区に移管されます。その後、内部車庫は2015年（平成27年）4月1日に四日市あすなろう鉄道へ移行したことに伴い、施設の所有者である四日市市へ移管されました。

利用状況

近年の1日平均乗降人員は1,300人台から1,900人台の間で推移しており、調査日による変動が見られます。詳細な数値は以下の通りです。

- 2024年11月12日：1,488人
- 2023年11月7日：1,627人
- 2022年11月8日：1,543人
- 2021年11月9日：1,341人
- 2018年11月13日：1,640人
- 2015年11月10日：1,804人
- 2012年11月13日：1,667人
- 2010年11月9日：1,804人
- 2008年11月18日：1,737人
- 2005年11月8日：1,926人

駅周辺

駅東側

駅舎が面する東側は、伊勢湾の白塚海岸まで約700mの平坦な低地に住宅が密集しています。古くからの集落のため、大型車の通行が困難な狭い道や路地が多く見られます。駅前には小規模ながら商店がいくつかあり、水産加工場をはじめとする中小工場が点在しています。白塚の各地区はこの駅を最寄りとしていますが、北東部は豊津上野駅、南西部は高田本山駅の駅勢圏と重なる部分があります。また、南方向は便数の多い路線バス（白塚口バス停留所）との競合も見られます。元々の白塚の中心地は現在の津市白塚出張所付近であり、当駅からは1.2kmほど離れています。

駅構内には三重交通の「白塚駅」バス停留所があり、津駅方面への路線が発着しますが、鉄道と並行するため乗り換え利用は少なく、主にバスの回転場・発着場として利用されています。その他、周辺には近鉄白塚体育館、樋口友好ミュージアム、白塚市民センター、旭電器工業（パナソニック関連）、白塚診療所、白塚郵便局、津市白塚出張所、津市立白塚小学校、白塚漁港などがあります。

駅西側

駅構内にかかる高田本山第九号踏切（歩行者・自転車専用）を渡った西側には、オープンモール型ショッピングセンター「セノパーク津」が立地しており、白塚団地、小川（こがわ）、小川園の3つの集落が存在します。このエリアを国道23号が南北に縦断しています。さらに西側には伊勢鉄道伊勢線の線路が通っていますが、駅までは距離があります。北西方向は同線の河芸駅の徒歩圏内に入りますが、そちらの利用は少ないとされています。西へ約1kmに位置する豊野団地は、津駅・津市街とを結ぶ路線バスが利用できることや、白塚駅前道路の狭隘さもあり、当駅の駅勢圏からはほぼ外れています。

「セノパーク津」は主要な商業施設であり、スーパービバホーム、マックスバリュ、スシロー、あみやき亭、和食さと、極楽湯など、様々な店舗が入居しています。セノパーク津付近には津市コミュニティバス（河芸地域）の「セノパーク」停留所が設置されています。その他駅西側には白塚団地、津小川郵便局、ヤマト運輸津白塚センターなどがあり、津市コミュニティバスの「白塚駅西」停留所も利用可能です。

バス路線

駅構内の駅舎横にあるバス乗り場には、三重交通の神戸白塚線が乗り入れています。津駅を経由し、三重会館や津新町駅を経て泉ヶ丘団地へ向かう[06]系統が運行されており、1日あたり12便（土休日は11便）が設定されています。

隣の駅

近畿日本鉄道名古屋線

■急行：通過

■普通：豊津上野駅 (E35) - 白塚駅 (E36) - 高田本山駅 (E37)

外部リンク

- 駅の情報｜白塚 - 近畿日本鉄道

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