白木峰

白木峰（しらきみね）

概要

白木峰は、富山県富山市と岐阜県飛騨市に跨る標高1,596mの山です。山頂には広大な草原と高層湿原が広がり、多様な高山植物が自生しています。白木水無県立自然公園の中心に位置し、日本三百名山、ぎふ百山にも選定されています。山頂からの眺望は素晴らしく、両白山地や飛騨高地、立山連峰などの山々を一望できます。

特徴

山頂の草原: 山頂はニッコウキスゲをはじめとする高山植物が豊富に自生する草原です。特に7月上旬にはニッコウキスゲの大群落が一斉に開花し、美しい景観を作り出します。周囲には遮るものがなく、360度のパノラマが楽しめます。
池塘: 山頂部には複数の池塘があり、最大の池には浮島が存在します。小白木峰南部にも比較的大きな池塘が見られます。
山名の由来: 白木峰の名前は、山の中腹に白い幹のブナが疎らに生えていたことに由来すると言われています。
かつての無線施設: かつて山頂近くにはNTTの無線通信用巨大アンテナがありましたが、現在は撤去され、跡地の草原回復工事が進められています。
登山シーズン: 花が咲き誇る6月から7月にかけて多くの登山客で賑わいます。秋には草紅葉やナナカマドが美しく色づきます。
小白木峰: 稜線南部には、白木峰よりも小ぶりな山頂草原を持つ小白木峰があります。
西白木峰: 白木峰の西側に位置する金剛堂山は、富山藩側では「西白木峰」と呼ばれていました。

地質

白木峰の地層は、古生代以前の飛騨変成岩類から構成されています。山頂付近は石灰岩と石英長石質岩が主体ですが、石灰岩の割合が高いのが特徴です。石英長石質岩は、石英、斜長石、カリ長石、黒雲母などからなり、石灰岩は、解石よりなる晶質石灰岩で、黒鉛を含むことがあります。また、ドロマイト質部分には、フォルステライト・斜ヒューム石・蛇紋石・透角閃石・金雲母などが含まれます。中腹部には、飛騨片麻岩や花崗岩質ミロナイトが見られます。

自然

地形: 白木峰の稜線部には、隆起準平原と呼ばれる広大な平坦地が広がっています。
風衝草原: 亜高山帯に位置するにも関わらず、山頂部に高木が見られないのは、強い季節風の影響による風衝草原であると考えられています。

生態

池塘の生物: 池塘にはクロサンショウウオ、イモリ、モリアオガエルなどの水生生物が生息し、ワタスゲなどが生育しています。
草原の植物: 草原にはゼンテイカ、イワウチワ、イワカガミ、ウラジロヨウラク、ササユリ、ギボシアザミ、コバイケイソウ、ニッコウキスゲなどが自生し、チングルマやヒメシャクナゲの小群落も見られます。笹薮にはシャクナゲ、ナナカマド、ツゲなどが生育しています。
植生の特徴: 山頂付近の植生は、餓鬼田（高層湿原の池塘）の存在など、立山の弥陀ヶ原に似た特徴を持ちますが、白木峰ではオオシラビソが見られず、代わりにキャラボクが自生しています。

登山

富山県側からは、山頂近くの標高1,300m付近まで車道が整備されており、山頂直下には白木峰山荘という避難小屋があります。車道終点から山頂までは約40分で到達できます。山頂付近は広々とした草原で、池塘が点在し、展望が優れています。他の登山ルートとしては、国道472号沿いの発電所から登るルートや、岐阜県側の万波高原から小白木峰を経て登るコースもありますが、あまり利用されていません。山頂草原の遊歩道は全て木道で、1974年の白木水無県立自然公園指定後に整備されました。

周辺情報

主な山: 仁王山、小白木峰、金剛堂山
源流の河川: 久婦須川（万波川） - 神通川水系
施設: 大長谷温泉、白木峰山荘

外部リンク

小白木峰・白木峰 - 飛騨市公式観光サイト
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