白鳥神社 (えびの市)

白鳥神社

宮崎県えびの市南部の白鳥山中腹に鎮座する白鳥神社は、古くから地域の人々に崇敬されてきた神社です。かつては霧島六社権現の一社に数えられたという説もある古社ですが、一般的には霧島六社権現には含まれないとされています。旧社格は県社でした。

祭神

祭神は日本武尊です。

由緒

神社の創建は、10世紀後半に性空という僧侶が霧島山を訪れた際に遡ります。性空が白鳥山頂付近の六観音御池で法華経を唱えていると、白髪の老人が現れ「我は日本武尊であり、白鳥となってこの山に住んでいる。私を祀る神社を建ててほしい」と告げ、白鳥となって飛び去ったという伝説が残っています。この伝説に基づき、白鳥山の中腹に聖観音を本地仏とする白鳥権現社が創建されました。日本武尊が霧島山に現れたのは、かつて熊襲を討伐した因縁によるものとされ、後に軍神として崇められるようになりました。

歴史

白鳥神社は、祭神が軍神であったことから、戦国時代には島津氏をはじめとする領主からの崇敬を集めました。天正4年（1576年）には、島津義久が参詣しており、天正20年には社領30町（約3600坪）が諸役免除とされました。特に島津氏からの崇敬は厚く、島津義弘は戦に出陣する前に武運を祈願し、慶長6年（1601年）から同10年にかけて社殿を新築し、社領200石を寄進しました。その後も島津氏による祈願や戦勝報告のための寄進が続けられました。また、山麓の飯野郷や丘郷では、白鳥を殺すことが禁じられていたと言われています。

明治維新の際には、現在の社名である白鳥神社に改称されました。明治38年（1905年）には県社に列格し、明治40年（1907年）には神饌幣帛料供進神社の指定を受けました。

神社創祀と同時に、近くに別当寺として白鳥山金剛乗院満足寺（天台宗）が創建されました。しかし、寺は後に荒廃し、神社のみが残る状態となりました。室町時代初期の応永10年（1403年）に、光尊阿闍梨によって真言宗寺院として再興され、江戸時代には多くの参拝者が訪れて隆盛を誇りましたが、明治3年（1870年）に廃寺となりました。

祭祀

戦前までは、例祭において天鈿女命の舞とされる神化舞が奉納されていました。

その他

神社の近くには白鳥温泉があり、江戸時代には寺院の僧侶たちが利用していたと伝えられています。毎年11月上旬には、えびの白鳥観光祭が開催され、多くの観光客で賑わいます。また、元禄16年（1703年）には、境内にあったアカマツの巨木が東大寺大仏殿の屋根を支える虹梁として使用されたという記録も残っています。

参考文献

橋口兼古、五代秀堯、橋口兼柄『三国名勝図会』巻之53、天保14年
『宮崎県神社誌』、宮崎県神社庁、昭和63年

関連項目

* 白鳥伝説

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