石原保太郎

石原保太郎は、日本の近代黎明期にあたる安政5年（1858年）に備前国岡山で、石原萬年、かつの長男として生を受けました。地元の普通学校で学び終えた後、若くして横浜へと移ります。横浜では、アメリカ合衆国長老教会の宣教師であったヘンリー・ルーミスの開いた英語塾に入り、ここで英語を習得すると同時に、ルーミスの講義を通じてキリスト教の教えに触れ、やがて深い回心に至りました。そして、明治7年（1874年）7月5日、横浜第一長老教会において、師であるルーミスより洗礼を受け、キリスト者としての歩みを始めます。

洗礼後、さらなる学びを求めた石原は、C・カラゾルスが築いた築地大学校に入学しました。その後、明治10年（1877年）に新たに開校した東京一致神学校へ転じ、神学の研鑽を積みました。明治13年（1880年）には同校の第一期生として卒業を迎え、同年11月26日には日本基督一致教会の牧師に任じられます。

最初の牧会地は、新栄橋教会（現在の日本基督教団新栄教会）でした。石原はこの教会で約9年間（1880年から1889年まで）牧師を務めました。新栄橋教会の牧師就任から4年後の明治16年（1883年）5月には、第三回全国基督教信徒大親睦会がこの教会を会場として開催されました。石原は大会の主催者の一人として、また幹部として、この重要な集会の運営に尽力し、日本の初期プロテスタント教会の連携強化に貢献しました。

新栄橋教会での務めを終えた明治22年（1889年）、石原は巡回牧師として、各地を巡りながら伝道活動を展開しました。その後、明治25年（1892年）からは高台教会（現在の日本基督教団高輪教会）の牧師に着任します。明治28年（1895年）には、高台教会に加えて品川教会（現在の日本基督教団大井町教会）の牧師も兼任する多忙な日々を送りました。さらに明治34年（1901年）には、芝教会（現在の日本基督教団芝教会）の牧師も務めることとなります。

国内各地での牧会を経て、明治39年（1906年）7月、石原は日本基督教会伝道局からの招聘を受け、海を渡る決意をします。満州の営口や安東県、そして朝鮮の京城（現在のソウル市）といった海外の地にある教会で、日本人や現地の人々への伝道と牧会に従事しました。

海外での働きを終え、明治43年（1910年）に日本へ帰国した石原は、東京にある赤坂教会の主任牧師に就任しました。そして、大正元年（1912年）には、礫川教会（さざれいしがわきょうかい）の牧師も兼務することになりました。大正5年（1916年）には赤坂教会の主任牧師職を辞し、以降は礫川教会の牧師として、その活動に専念しました。日本の教会史における重要な時期に、国内外を問わず精力的に働いた石原保太郎は、大正8年（1919年）8月12日、その生涯を閉じました。

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