硫黄島 (鹿児島県)

薩摩硫黄 島：火山と歴史が織りなす絶景の島

薩摩硫黄島は、鹿児島県に属する三島村に位置する火山島です。薩南諸島の北部にあり、周囲14.5km、面積11.65平方キロメートル。活火山の硫黄岳がそびえ立ち、島全体が温泉と硫黄の香りに包まれています。ここでは、硫黄島の地理、歴史、自然、産業、観光について詳しく解説します。

硫黄島は、鬼界カルデラの北縁に位置する火山島であり、竹島、黒島と共に上三島を構成しています。活火山の硫黄岳は標高703.7メートルで、現在も噴煙を上げています。島の周辺海域は、海底から湧き出る温泉の影響で黄色く変色しており、「黄海ヶ島」が「鬼界ヶ島」に転じたという説も存在します。

硫黄島は、古くは『平家物語』に登場する俊寛が流刑にされた地として知られています。平安時代末期から流刑地としての歴史を持ち、11世紀頃からは硫黄の採掘が始まり、日宋貿易や日明貿易における重要な輸出品となりました。近年では、リゾート開発の歴史や、キャンプ施設が存在します。

東は太平洋、西は東シナ海に面し、黒潮の影響を受ける硫黄島は、温暖な亜熱帯性海洋気候です。しかし、台風や季節風の影響を受けやすく、風害や潮害が発生しやすい地域でもあります。

硫黄岳は活発な火山活動を続けており、噴気温度は800℃を超えることもあります。過去には噴火も頻繁に発生しており、現在も火山活動の監視が続けられています。鬼界カルデラの噴火は、南九州の文明を壊滅させたほどの規模であったことが知られています。

硫黄島には、東温泉、坂本温泉、ウータン温泉など、様々な泉質の温泉が湧出しています。硫黄岳からの距離によって泉質が異なり、強酸性泉から食塩泉まで楽しむことができます。

硫黄島では、畜産（黒毛和牛の仔牛生産）やタケノコの生産・加工、椿油の生産が行われています。近年では、「みしま牛」のブランド確立にも取り組んでいます。漁業も盛んですが、港湾施設の制約から小型漁船での操業に限られています。イセエビ漁が特に有名です。

硫黄島には民宿が数軒あり、宿泊施設も利用できます。俊寛にまつわる史跡や、安徳天皇の墓所、熊野神社など、歴史的な名所も存在します。近年では、村営の薩摩硫黄島飛行場が滑走路不具合のため休航しています。

流紋岩質の円錐火山である硫黄岳は、現在も活発な噴気活動を続けています。山頂には直径450メートルの噴火口があり、南西側にはキンツバ火口、南東側には古岳火口と呼ばれる地形も残っています。

かつて硫黄岳では硫黄が採掘されており、日宋貿易や日明貿易における輸出品となっていました。最盛期には年間5万トンの珪石が生産されていましたが、安価な輸入品の増加により閉山となりました。

1999年から2004年まで毎年噴火が発生していました。火口内部では活発な噴気活動が確認されており、2019年には小規模な噴火が発生し、噴火警戒レベルが引き上げられました。

薩摩硫黄島は、火山活動によって形成された自然、歴史、文化が融合した魅力的な島です。温泉や豊かな自然、そして島民の温かい人柄に触れ、心身ともにリフレッシュできる旅を体験してみてはいかがでしょうか。

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