神保相茂

神保相茂

神保相茂（じんぼう すけしげ）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将、旗本です。通称は長三郎、官途は出羽守。

生涯

神保相茂は、神保春茂の子として生まれました。神保氏は越中国神保氏と同族で、春茂の系統は神保長誠から分かれ、代々紀伊国有田郡石垣鳥屋城に居住し、畠山氏尾州家の家臣を務めていました。

畠山氏没落後、父・春茂は豊臣秀吉に仕え、大和国高市郡のうち6000石を与えられました。相茂も秀吉に仕え、伏見に住んでいました。

慶長5年（1600年）の上杉景勝討伐に従軍し、下野国小山まで赴きました。関ヶ原の戦いでは、諸将と共に岐阜城を落城させる功績を挙げました。戦後、高市郡で1000石加増され、合計7000石を領しました。慶長15年（1610年）には、丹波国亀山城の普請を務め、徳川秀忠よりその功労を賞する書を与えられています。

慶長19年（1614年）の大坂の陣では、300の兵を率いて水野勝成隊に属し、勇敢に戦いました。5月6日の道明寺の戦いでは9つの首を討ち取る活躍を見せ、翌7日の天王寺・岡山 লড়াই 戦いではさらに13の首を討ち取りました。しかし、船場口にて明石全登隊が越前勢左翼を攻め崩したことで水野勝成隊は混乱に陥り、激戦の中、神保隊は壊滅。相茂も討ち死にしました。享年34。

江戸幕府の公式記録である『徳川実紀』には、神保一党は5月7日に明石隊との激戦で全滅したと記録されています。「此の戦に大和組の神保長三郎は、主従共に三十六騎馬同枕に討ち死にす」と、その壮絶な戦死が記されています。

法名は宗範。大和国当麻寺に葬られました。

戦後、子の茂明は当時5歳でしたが、本多正信の取りなしにより徳川家康に拝謁し、父の遺領を継ぐことを許されました。寛永2年（1625年）に改めて旗本に取り立てられ、子孫は大身旗本として存続しました。

伊達の味方討ち説

相茂の死については、味方である伊達政宗隊からの攻撃によるものとする説も存在します。

島津氏の史料『薩藩旧記雑録』に収録された報告書によれば、神保隊270人が伊達隊によって味方討ちされ、わずか7騎しか残らなかったとされています。報告書には、「伊達殿は今度味方討ち申され候こと。然りともいえども御前はよく候えども、諸大名衆笑いものにて比興との由、御取沙汰の由に候」と、政宗の行為が諸大名から非難されたことが記されています。

『大坂夏陣推察記』によると、神保家の遺臣が水野氏と本多正純を介して伊達家に抗議したものの、伊達政宗は「神保隊が崩れかかってきたので、共崩れを避けるために撃った。伊達の軍法には敵味方の区別はない」と弁明したとされています。神保氏はわずか7千石の外様であり、62万石の大大名である伊達氏との争いは避けられ、伊達家はお咎めなしとなりました。

この他にも、誤射説、敵との誤認説、後藤基次隊ごと攻撃したとする説、功名争い説など、様々な説が存在します。上方の講談本『難波戦記』には、船場口で休息を取っていた神保隊に対し、伊達側が有無を言わさずに銃撃を加えたと記されています。

家族

兄弟
相茂
女子（多賀常長の妻）
妻
杉若越後守某の娘
子
女子（西尾重長の妻）
茂明

脚注

参考文献

「巻第千百八十一 惟宗氏 神保」『寛政重脩諸家譜』 第七輯、國民圖書、1923年6月23日。

関連項目

武蔵 (格闘家)|武蔵_(格闘家) - 相茂の女系子孫にあたる。

外部リンク

* デジタル版 日本人名大辞典+Plus『神保相茂』 - コトバンク

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