神子田正治

神子田正治

神子田正治（みこだ まさはる）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名です。豊臣秀吉の家臣として、備中庭瀬城主を務めました。通称は半右衛門、半左衛門、半左衛門尉。姓は御子田とも表記されます。

生涯

尾張国海西郡鯏浦（現・愛知県弥富市）の神子田肥前守の子として生まれました。神子田氏は近江国の豪族ともいわれます。織田信長が尾張国を統一した際、父とともにその配下に入ったとされています。

永禄3年（1560年）の桶狭間の戦いや、永禄10年（1567年）までの美濃斎藤氏攻めで功績を上げ、木下（豊臣）秀吉に請われて家臣となりました。秀吉が長浜城主だった天正元年（1573年）には、近江国に250貫文の所領を与えられ、黄母衣衆、後に腰母衣衆に転じます。

中国攻めに従軍し、三木城攻め（三木合戦）などで活躍しました。天正5年（1577年）には、宮田光次、戸田勝隆、尾藤知宣と同時に播磨国で5,000石を加増されました。他の3人が加増の少なさに不満を抱いたのに対し、正治は自身の武功によるものだと喜びました。

天正10年（1582年）の本能寺の変後も秀吉に従い、山崎の戦いに参加。天正11年（1583年）の賤ヶ岳の戦いでは一軍を率い、その後に備中庭瀬城主として1万2,000石に加増されました。

天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いでは、日根野弘就、長岡忠興、木村重茲、長谷川秀一、明石実則らと共に二重堀砦の守備に就きましたが、織田信雄の軍による夜襲を受けます。この際、正治は戦況を顧みず、個人的に敵の首級を挙げたことを秀吉に諫言。秀吉を「闇将」と批判したため、激怒した秀吉によって所領を没収され、高野山へ追放されました。

天正13年（1585年）には高野山からも追放され、諸国を放浪。天正15年（1587年）に豊後国で自害したとも、九州征伐で秀吉に帰参を哀願したが許されず、切腹を命じられたとも伝えられています。死後、京都一条戻橋に梟首され、「臆病者」との高札が立てられました。

人物

山鹿素行の『武家事紀』では、秀吉創業期からの勇功の士として、宮田光次、戸田勝隆、尾藤知宣と共に列記され、「神子田を第一とする」と評されています。一方で『続武家閑談』によれば、武勇・軍学に優れていたものの、自身の武功を誇って秀吉を蔑み、疎まれたともいわれます。

一族

『武家事紀』によれば、神子田肥前守の弟の子である長門守（初名：采女）の弟、八右衛門は堀秀政に仕えました。長門守の子は萬見仙千代といい、織田信長の小姓を務めましたが、天正6年（1578年）の有岡城攻めで討ち死にしました。

関連作品

小説
火坂雅志：短編「幻の軍師」（文春文庫『壮心の夢』収録）

参考文献

桑田忠親『太閤家臣団』新人物往来社、1971年、65-68頁。
高柳光寿; 松平年一『戦国人名辞典』吉川弘文館、1981年、240頁。
山鹿素行「国立国会図書館デジタルコレクション 第十四続集」『武家事紀. 上巻』山鹿素行先生全集刊行会〈山鹿素行先生全集〉、1915年、506-507頁。

関連項目

小牧・長久手の戦い

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