神栖駅

茨城県神栖市東深芝に所在する神栖駅は、鹿島臨海鉄道が運営する鹿島臨港線の重要な貨物駅です。

歴史

神栖駅は、高度経済成長期における鹿島臨海工業地帯の発展に伴い、貨物輸送の拠点として1970年（昭和45年）7月21日にその歴史をスタートさせました。開業当初から貨物駅として機能し、地域の産業活動を支えてきました。開業後、特定の企業の専用線が次々と敷設され、輸送ネットワークが拡充されます。1973年（昭和48年）1月4日には全国農業協同組合連合会（全農）の専用線が、翌1974年（昭和49年）2月には昭和産業の専用線がそれぞれ新設され、多様な貨物の取り扱いが可能となりました。

特筆すべきは、短期間ながら旅客営業を行っていた時期があることです。1978年（昭和53年）7月25日に旅客取り扱いを開始しましたが、わずか5年後の1983年（昭和58年）12月1日には廃止され、再び貨物専業駅へと戻りました。

貨物輸送の近代化にも対応し、1984年（昭和59年）2月1日にはコンテナ貨物の取り扱いを開始しました。その後も進化を続け、1993年（平成5年）5月1日には20フィートコンテナ、1997年（平成9年）11月5日には国際物流に対応した20フィート海上コンテナの取り扱いも可能となり、輸送能力が向上しました。

旅客営業廃止後も、記念イベントや特別な機会に臨時で旅客列車が運行されたことがあります。例えば、2005年（平成17年）10月16日には、大洗鹿島線開業20周年を記念して、この日限定で鹿島サッカースタジアム駅から当駅間での旅客輸送が行われました。また、2007年（平成19年）10月20日にも同区間で臨時旅客列車が運行されましたが、この時は駅での乗降はできず、記念入場券が発行されるに留まりました。

構内では作業中の事故も発生しており、2009年（平成21年）4月20日には貨物列車の作業中に衝突事故が発生し、関係者が軽傷を負う事態がありました。

駅構造

神栖駅は広大な地上駅であり、多様な施設を備えています。構内にはコンテナ貨物の積み降ろしを行うためのコンテナホームが1面1線設けられているほか、貨車の仕分けや留置を行うための多数の線路、そして鹿島臨海鉄道の車両基地である神栖車両区が併設されています。駅の事務機能は構内の東側、道路に面した場所に集約されています。

過去に旅客営業を行っていた名残として、構内の西側、和田山緑地に面した場所に旅客ホームの構造物が現在も残されています。

車両基地が構内にあるため、貨物列車だけでなく、鹿島臨海鉄道の旅客列車で使用される気動車もこの駅に乗り入れています。また、一時期（平成19年から20年にかけて）、駅構内を利用して鉄道車両の解体作業が請け負われたことがあり、解体予定のJRの電車や貨車がこの駅まで輸送されるという珍しい光景も見られました。

かつては駅に接続する形で複数の企業の専用線が存在しました。全国農業協同組合連合会（全農）、昭和産業、そして鹿島臨海鉄道グループの鹿島臨海通運がそれぞれ専用線を持っていましたが、これらの専用線はすべて現在では廃止されています。鹿島臨海通運の専用線は日本通運や日本陸運産業（現在の日陸）などが、全農専用線はJA東日本くみあい飼料などが利用していました。

取り扱う貨物の種類

神栖駅で取り扱われる主な貨物は以下の通りです。

コンテナ貨物: 12フィートコンテナ、20フィート大型コンテナ、そして国際的な物流に用いられる20フィートISO規格海上コンテナなど、様々なサイズのコンテナを取り扱っています。
車扱貨物: コンテナに積載できないような特殊な貨物として、産業廃棄物の取り扱い許可を得ています。

駅周辺

駅の周囲には、鹿島臨海工業地帯に関連する工場や物流施設が点在しています。主な施設としては、ADEKA鹿島食品工場・鹿島化学品工場、昭和産業鹿島工場、全国酪農業協同組合連合会鹿島飼料工場、雪印種苗鹿島工場、JA東日本くみあい飼料鹿島工場などがあります。また、近くには憩いの場である港公園や和田山緑地も位置しています。

隣の駅

鹿島臨海鉄道鹿島臨港線における神栖駅の隣駅は以下の通りです。

鹿島サッカースタジアム駅 - 神栖駅 - 知手駅 - 奥野谷浜駅

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