穂波経度

穂波経度（ほなみ つねのり）は、幕末の公家、明治期の官僚・政治家として知られています。元老院議官、錦鶏間祗候を歴任しました。

生い立ちと初期の活動

穂波経度は、山城国京都において、左中弁・勧修寺顕彰の二男として生まれ、穂波経治の養子となりました。嘉永3年12月17日（1851年1月18日）に元服し昇殿を許され、伊勢権介に任じられます。さらに嘉永4年1月18日（1851年2月18日）には右京大夫に任じられました。

幕末の動乱期

安政5年（1858年）には、廷臣八十八卿列参事件に加わり、政治活動に関与し始めます。慶応2年8月（1866年）には、朝廷刷新を目指した二二卿建議（廷臣二十二卿列参事件）にも参加しました。慶応3年3月（1867年）には国事御用掛となり、書記役並びに諸藩応接掛を務めました。鳥羽・伏見の戦いが発生すると、伏見表戦場使番役に任じられ、参与助役、錦旗奉行を歴任。戊辰戦争においては、大総督府参謀として各地を転戦しました。

明治維新後の活躍

明治元年12月19日（1869年1月31日）には、民部卿に就任し、新政府の一員として活動します。明治2年3月6日（1869年4月17日）には兵部省兵学寮御用掛・兵学権頭相当に転じ、明治4年3月22日（1871年5月11日）までその職を務めました。明治2年6月2日（1869年7月10日）には、戊辰戦争における戦功により、賞典禄100石を永世下賜されています。1876年6月30日に隠居し、家督は長男の経藤が継承しました。

その後の活動

1879年12月22日には工部省御用掛に就任し、その後、皇居御造営御用掛、宮内省御用掛、兼皇居御造営事務局御用掛、吹上浜御苑勤番などを歴任しました。1886年2月5日に非職となり、1889年2月4日に非職満期を迎えます。同年9月18日には宸翰掛・御製取調専務に就任しました。

1890年6月12日には元老院議官となり、同年10月20日の元老院廃止まで在任し非職となりました。同日、錦鶏間祗候を仰せ付けられています。

晩年

1905年6月6日、飛鳥井家の戸籍法違反事件に関与したことで、華族の礼遇が停止され、従二位返上を命じられ、同月16日には勲五等を褫奪されるという不運に見舞われました。

系譜

父：勧修寺顕彰（1815-1861）
母：不詳
養父：穂波経治
妻：不詳
男子：穂波経藤
男子：河田景延

穂波経度は、幕末の動乱期から明治維新にかけて、公家、官僚、政治家として多岐にわたる活動を展開しました。その生涯は、日本の近代化の過程における重要な一側面を映し出しています。

参考文献

日本歴史学会 編『明治維新人名辞典』吉川弘文館、1981年。
我部政男、広瀬順晧 編『国立公文書館所蔵 勅奏任官履歴原書』 下巻、柏書房、1995年。
霞会館 編『平成新修旧華族家系大成』 下巻、吉川弘文館、1996年。
橋本政宣 編『公家事典』吉川弘文館、2010年。

もう一度検索