端角

端角戦法詳解：将棋における角行の戦略的活用

端角戦法とは、角行を盤の端（先手なら9七、後手なら1三）に配置し、その独特の利きを生かして戦う将棋の戦法です。通常、角行はまっすぐ進めないため、端に配置すると相手からの端歩の突きといった弱点がありますが、その一方で、相手の陣の中央5筋や飛車周辺を睨むことができるという大きな利点があります。このため、角行を敢えて端に配置することで、独特の攻めや守りを展開する戦法が数多く存在します。

端角戦法の代表例

端角戦法は、様々な戦法体系の中に組み込まれており、その代表例として以下のような戦法が挙げられます。

山田定跡の端角～引き角: 古くから知られる定跡の一つで、端角から角行を引きながら攻めていく戦法です。
石田流: 飛車を伸ばす独特の戦法体系で、端角は重要な役割を担います。
ひねり飛車: 飛車を斜めに配置する戦法。端角を用いることで、相手の陣形を崩しやすくします。
端角中飛車: 5五の龍中飛車などが有名で、端角が中央を睨むことで強力な攻めを仕掛けます。
角道クローズ左美濃（平美濃）△1三角型: 角道を閉じた美濃囲いをベースにした戦法で、端角は相手の攻めを牽制します。
カニカニ銀: 特有の銀の配置と端角が相性の良い戦法です。
* 金開きやアヒル囲い: これらの囲いも端角と組み合わせることで、守備力を高めつつ攻めを展開します。

具体的な手順例：▲9六歩戦法

▲9六歩から始まる戦法では、先手が▲9七角と端角を覗くことで、後手の対応を誘います。後手が△9四歩と応じれば、▲9七角△6二銀に▲9八香と進み、相手の陣形を崩していきます。以降は、具体的な手順は局面に応じて変化しますが、端角の利きを活かした攻めが展開されます。

端角四間飛車

四間飛車においても、端角戦法は効果を発揮します。特に、角交換四間飛車や、居飛車対四間飛車における飛車先の攻防において、端角は重要な役割を果たします。▲7七銀型は、居飛車に対して端角を構え、飛車先を突破する戦略として有効です。

端角と二枚替え

端角戦法では、相手が端から角行を取りに来た場合、角筋に金銀などの駒があれば、角行を切って二枚替えを狙う戦術が有効です。これは相手の駒を交換しつつ、局面の主導権を握るための重要な手段となります。

端角中飛車

端角を用いる中飛車も存在します。特に、漫画『5五の龍』で紹介された中飛車は有名で、9七（1三）の角が5筋を睨むことで、強力な攻め駒として機能します。ゴキゲン中飛車など、様々な中飛車系統で活用されています。

対居飛車穴熊

居飛車穴熊に対しては、後手振り飛車が△1三角と端角を構え、6筋からの攻めを仕掛ける戦法が用いられます。この戦法は、居飛車穴熊の固い守りを崩すための有効な手段の一つです。

対振り飛車

振り飛車同士の対戦においても、端角戦法は活用されます。具体的な手順は局面に応じて変化しますが、端角の利きを活かして、相手の陣形を崩し、攻めを展開します。

中原流

中原誠十六世名人が創案した戦法で、鷺宮定跡に対する有力な対抗策として知られています。▲9七角と端角を覗くことで、相手の陣形を乱し、優勢に立つことを目指します。

端角阿部流

阿部健治郎九段が考案した戦法で、ゴキゲン中飛車穴熊銀に対して有効な戦法として知られています。▲9七角と端角を覗くことで、相手の穴熊囲いを崩し、攻めを展開していきます。

まとめ

端角戦法は、角行の特性を活かした独特の戦法であり、様々な戦法体系の中で活用されています。その柔軟性と攻撃力は、現代将棋においても高い評価を受けており、今後も発展していくことが期待される戦法です。初心者から上級者まで、将棋の戦術理解を深める上で、端角戦法を理解することは非常に重要です。

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