第三者認証

第三者認証とは

第三者認証とは、製品やサービスが特定の規格や基準に適合しているかどうかを、利害関係のない第三者機関が評価し、認証を与える制度です。この制度は、当事者自身が適合性を確認する第一者認証（自己認証）や、エンドユーザーが確認する第二者認証（購買検査など）とは異なり、独立した立場から客観的な評価を提供することで、製品やサービスの信頼性を高めることを目的としています。

第三者認証のメリット

第三者認証の最大のメリットは、認証を取得した製品やサービスに対する信頼性を向上させる点です。特に、当事者への信頼性が低い場合でも、第三者機関による認証があることで、関係者は安心して取引や利用を進めることができます。例えば、開発途上国からの輸入品に対する船積み前検査（PSI）では、第三者認証機関が検査を実施することで、輸入手続きを簡略化し、迅速な通関を可能にしています。また、アメリカへの食品輸入では、FDAに認定された第三者認証機関の監査に合格することで、輸入がスムーズになる事例があります。

日本国内での活用

日本国内においても、第三者認証は重要な役割を果たしています。乳児用ベッドやライターなど、消費者の安全に関わる製品については、第三者機関による認証がないと販売が許可されないものもあります。これは、第三者認証が製品の品質と安全性を担保する上で不可欠であることを示しています。

試験、検査、認証市場の変遷

試験、検査、認証（TIC）市場は、19世紀中期に蒸気機関の安全確保を目的とした検査機関の設立から始まりました。その後、船舶、貨物、自動車など、検査対象は拡大し、産業の発展とともに成長を遂げました。1985年には、欧州共同体（EC）が「ニューアプローチ指令」を採択し、EN規格への統一が進められたことで、第三者認証の必要性が高まりました。さらに、CEマーク認証の義務化は、認証機関の競争を促進させました。

国際的な市場拡大

世界的には、1995年に発効した貿易の技術的障害に関する協定（TBT協定）が、国際貿易における国際規格への適合を必須としたことで、市場規模はさらに拡大しました。現在では、スイスのSGS、フランスのビューローベリタス、イギリスのインターテックといった大手3社が市場の大きなシェアを占めており、ヨーロッパの企業が市場をリードしています。

市場の成長予測

市場調査会社の予測によれば、TIC市場は2020年の2,042億ドルから、2025年には2,400億ドルを超えると見込まれています。この成長は、自由貿易の進展による認証需要の増加に加え、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う医療機器や個人用防護具（PPE）などの認証需要の増加も要因として挙げられます。

認証機関と認定規格

認証機関は、国際規格に適合しているかどうかを評価し、認証を与える役割を担います。各国の認証機関がそれぞれ認証を行うため、その信頼性を担保するために国際的なルールが定められています。ISO（国際標準化機構）では、マネジメントシステム認証においてIAF（国際認定フォーラム）のMLA（国際相互承認協定）、試験・検査所の認証においてILAC（国際試験所認定会議）のMRA（相互承認協定）を取り決めており、これらの協定に加盟している認定機関が、認証機関を評価することで、認証の国際的な公平性と信頼性を確保しています。また、日本産業規格（JIS）においても、認証機関の基準にはISO規格が用いられています。

認証の公平性への懸念

認証機関は民間企業であり、利益追求のために認証に差をつける可能性も指摘されています。例えば、より緩い審査で認証を得ようとする「フォーラム・ショッピング」と呼ばれる行為が問題視されています。これは、認証機関の差を利用して、より好ましい評価を得ようとする行為です。ヨーロッパでは、2000年代から問題として認識されており、英国規格協会（BSI）が、他の認証機関でより簡単に認証を得た事例を報告しています。

主な認証規格

第三者認証の対象となる規格は多岐にわたります。以下は、主な国際規格と日本国内の規格の例です。

国際規格

ISO 9001: 品質マネジメントシステム
EN/AS/JIS Q 9100: 航空宇宙産業の品質保証システム
ISO 13485: 医療機器の品質マネジメントシステム
ISO 14001: 環境マネジメントシステム
ISO 27001(ISMS): 情報セキュリティマネジメントシステム
ISO 45001: 労働安全衛生マネジメントシステム
Codex HACCP: 食品製造における工程管理システム

日本国内規格

JIS Q 15001: 個人情報保護マネジメントシステム（プライバシーマーク）
有機JAS: 有機・オーガニック認証
PSCマーク: 消費生活用製品の安全性認証
* PSEマーク: 電気用品の安全性認証

主な認証機関

上記で説明したように、様々な認証機関が存在します。認証を受ける際は、自身の製品やサービスが対象となる規格に合った認証機関を選ぶ必要があります。

まとめ

第三者認証は、製品やサービスの信頼性を高め、消費者や取引先からの信頼を得るために不可欠な制度です。国際規格や国内規格に適合していることを証明することで、品質や安全性が担保され、市場での競争力向上にもつながります。認証機関を選ぶ際には、その信頼性や専門性を慎重に検討することが重要です。

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