第12師団 (陸上自衛隊)

第12師団の概要

第12師団は、陸上自衛隊の東部方面隊隷下に存在した師団の一つで、3個の普通科連隊を基幹として、北関東および信越地方の防衛警備を主な任務としていました。1962年に第1管区隊を母体として新編され、2001年に旅団へと改編される形で廃止されました。その後、第12旅団が編成され、その役割を引き継いでいます。

沿革

創設期 (1962年)

1962年1月18日、陸上自衛隊の師団制への改編に伴い、第1管区隊を母体として第12師団が新編されました。警備区域は栃木県、群馬県、新潟県、長野県に及び、相馬原駐屯地で創隊式が行われました。この時、第12施設大隊は古河駐屯地で編成を完了した後、新町駐屯地に移駐しました。

編成は、師団司令部、同付隊、第2・第13・第30普通科連隊、特科連隊、戦車大隊、通信大隊、偵察隊、対戦車隊、武器隊、補給隊、衛生隊、輸送隊など多岐にわたりました。

1月23日には第12通信大隊が相馬原駐屯地へ、第12補給隊が新町駐屯地へ移駐を完了。1月25日には第12武器隊が相馬原駐屯地へ、第12衛生隊が新町駐屯地へ移駐を完了しました。同年11月には東富士演習場で師団初の対空挺演習を実施しています。

その後の活動

1964年6月16日には新潟地震が発生し、災害派遣活動を行いました。同年8月15日からは東京オリンピックの支援活動にも従事しています。

1965年頃の主要編成は、第2・第13・第30普通科連隊、第12特科連隊、第12戦車大隊でした。

1966年2月には積雪地研究演習「くびき演習」を行い、1967年8月には羽越豪雨による災害派遣を行いました。1971年8月には海上機動「なみ」演習を実施。1973年には甲信越山岳地帯での山地機動演習や雪害対処研究演習を実施しています。

1974年には北アルプス主峰登頂訓練を行い、榛名町の山崩れによる災害派遣も行いました。1975年8月には第12音楽隊が新編され、1976年3月には第12偵察隊が改編されました。

1977年には東海地震災害対処現地研究を複数回実施し、大災害非常呼集訓練も行われました。1979年には統合演習で、第2普通科連隊戦闘団が海上機動、第13普通科連隊戦闘団が空輸機動を行いました。

1984年には長野県西部地震、1985年には日本航空123便墜落事故、1986年には台風10号による災害派遣活動を行いました。1989年には第12特科連隊が改編され、155mmりゅう弾砲（FH70）や81式短距離地対空誘導弾が配備されました。

1990年頃の主要編成は、第2・第13・第30普通科連隊、第12特科連隊、第12戦車大隊でした。

1990年3月には戦車北転事業の影響で、第12戦車大隊第3戦車中隊が廃止されました。

近代化改編と廃止

1991年3月29日、師団は近代化改編を実施しました。この改編で、各普通科連隊は自動車化され、後方支援部隊が統合されて第12後方支援連隊が新編されました。また、第12特科連隊第6大隊は第12高射特科大隊として分離独立し、第12偵察隊には電子偵察小隊が、師団司令部付隊には化学防護小隊が新編されました。

1994年3月には東部方面航空隊から第12飛行隊が隷下に編入されました。1998年には長野オリンピック協力団を編成し、オリンピック運営に協力しました。2001年3月26日、旅団への改編に伴い、第12師団は廃止されました。

廃止時の編成とその後

廃止時の編成は以下の通りです。

相馬原駐屯地：師団司令部、同付隊、第12戦車大隊、第12通信大隊、第12後方支援連隊の一部、第12偵察隊、第12音楽隊
高田駐屯地：第2普通科連隊
松本駐屯地：第13普通科連隊、第12特科連隊第2大隊
新発田駐屯地：第30普通科連隊
宇都宮駐屯地：第12特科連隊、第12高射特科大隊
北宇都宮駐屯地：第12飛行隊
* 新町駐屯地：第12後方支援連隊（主力）、第12施設大隊、第12対戦車隊

これらの部隊は、旅団への改編に伴い、規模が縮小されたり、他部隊に転属されたりしました。例えば、第12戦車大隊は廃止され、第12通信大隊は中隊へと縮小しました。第12特科連隊は第12特科隊と新編の第6地対艦ミサイル連隊に分割され、第12高射特科大隊は中隊へと改編され、相馬原へ移駐しました。また、第12飛行隊は第12ヘリコプター隊に改編され、隊本部機能は相馬原へ移駐しました。第12後方支援連隊は第12後方支援隊へと縮小され、第12施設大隊と第12対戦車隊もそれぞれ中隊へと縮小しました。

第12師団は、その長い歴史の中で、防衛警備だけでなく、災害派遣など多岐にわたる任務を遂行してきました。その活動は、今日の陸上自衛隊の活動の基礎となっています。

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