第17師団 (日本軍)

第17師団の概要

第17師団は、大日本帝国陸軍に所属した師団であり、その歴史は二度にわたる編成によって特徴づけられます。

第一次編成 (1907年 - 1925年)

1907年（明治40年）11月、日露戦争後の軍備増強の一環として、第18師団と共に創設されました。師団司令部は岡山県に置かれ、当初は蓮昌寺、後に伊島村へと移転しました。1915年には一時満州に駐屯しましたが、1917年に岡山へ帰還しています。

しかし、第一次世界大戦後の戦後恐慌やシベリア出兵による財政難から、軍備縮小が行われることになり、1925年（大正14年）の宇垣軍縮によって、第13師団、第15師団、第18師団と共に廃止されました。

歴代師団長
一戸兵衛 中将：1907年11月13日 - 1911年9月6日
仙波太郎 中将：1911年9月6日 - 1914年4月17日
本郷房太郎 中将：1914年4月17日 - 1916年8月18日
星野金吾 中将：1916年8月18日 - 1918年7月24日
古海厳潮 中将：1918年7月24日 - 1921年7月20日
大野豊四 中将：1921年7月20日 - 1925年5月1日（廃止）

歴代参謀長
浄法寺五郎 歩兵大佐：1907年11月13日 - 1910年7月4日
近野鳩三 工兵大佐：1910年7月4日 - 1913年8月22日
長坂研介 歩兵大佐：1913年8月22日 - 1914年8月10日
上田兵吉 歩兵大佐：1914年8月10日 - 1917年8月6日
安満欽一 歩兵大佐：1917年8月6日 - 1918年11月1日
石井常造 砲兵大佐：1918年11月1日 - 1921年7月20日
川村尚武 歩兵大佐：1921年7月20日 - 1923年8月6日
島田良一 歩兵大佐：1923年8月6日 - 1925年5月1日

最終所属部隊
歩兵第33旅団
歩兵第41連隊（福山）
歩兵第54連隊（岡山）
歩兵第34旅団
歩兵第21連隊（浜田）
歩兵第63連隊（広島）
騎兵第21連隊
野砲兵第23連隊
工兵第17大隊
輜重兵第17大隊

第二次編成 (1938年 - 1945年)

1938年（昭和13年）、日中戦争の勃発に伴い、第17師団は再び編成されました。これは、既存の師団を対ソ戦に集中させるため、後方警備を担う「警備師団」としての役割を担うものでした。

この再編に際し、第17師団は留守第10師団が編成を担当しました。当初は第10師団の特設師団番号として計画されていましたが、軍備増強計画の変更に伴い、第15師団と共に常設師団として復活しました。他の新設師団と同様、実戦訓練のため中国戦線に投入されましたが、戦線が拡大したため、満州へ移動することはありませんでした。

中国大陸では、中支那派遣軍戦闘序列に編入され、武漢作戦などにも参加しました。その後は占領地警備や治安作戦に従事。1940年には、部隊の編成が一部変更され、乗馬の削減が行われました。太平洋戦争開戦後、1943年（昭和18年）に南方へ転用され、ニューブリテン島に派遣されました。一部部隊はブーゲンビル島へ分遣され、独立混成第38旅団へと改編されました。

ニューブリテン島の戦いでは、ラバウルやツルブを中心に連合国軍と戦い、1945年（昭和20年）8月に終戦を迎えました。持久戦の間には、新たな部隊が編入されました。

歴代師団長
広野太吉 中将：1938年7月15日 - 1940年8月1日
平林盛人 中将：1940年8月1日 - 1942年12月1日
酒井康 中将：1942年12月1日 - 終戦

歴代参謀長
伊藤忍 歩兵大佐：1938年7月15日 - 1940年8月15日
元泉馨 騎兵大佐：1940年8月15日 - 1942年8月1日
笹路太郎 大佐：1942年8月1日 - 1944年3月16日
角谷弘毅 大佐：1944年3月16日 - 終戦

最終所属部隊
歩兵第53連隊（鳥取）
歩兵第54連隊（岡山）
混成第2連隊
混成第6連隊
野砲兵第23連隊
工兵第17連隊
輜重兵第17連隊
第17師団通信隊
第17師団兵器勤務隊
第17師団捜索隊
第17師団第1野戦病院
第17師団第2野戦病院
第17師団第4野戦病院
* 第17師団病馬廠

まとめ

第17師団は、二度の編成を経て、その役割と所属部隊を大きく変えました。第一次編成では軍縮の対象となりましたが、第二次編成では中国戦線から太平洋戦争へと転戦し、激戦地で終戦を迎えることとなりました。この師団の歴史は、時代の変化と軍事戦略の変遷を反映するものであり、大日本帝国陸軍の歴史を語る上で重要な一部と言えるでしょう。

もう一度検索